<金口木舌>アスリートの新たな挑戦

 プロバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスなどで活躍した金城茂之さんが7月に現役引退を表明した。今後はリーグ2部・仙台のコーチに就任し、指導者としてチームを支える

▼キングス時代は主力として活躍し、何度も優勝を経験した。大けがで戦列を離れ、長い間コートに立てなかった時期もある。喜びも苦しみも味わった経験はコーチとしての糧になるはず

▼三菱総合研究所のホームページには現役を終えたアスリートのインタビューが掲載されている。保険や不動産など競技と異なる世界に飛び込み、試行錯誤しながら挑戦を続ける姿に、困難な時代を生き抜くヒントがあると感じた

▼選手にとって引退後に何をするかは悩みの種の一つ。日本野球機構(NPB)が公表したセカンドキャリアに関するアンケートでは、若手選手の半数近くが引退後の生活に不安があると回答した

▼目標に向かって努力し、困難を克服するアスリートの姿勢は、企業活動でも力を発揮すると言われる。最近は引退後の選手と企業をつなぎ合わせる取り組みも増えた

▼東京五輪は8日に閉会する。次の目標に向かうのか、競技人生に幕を下ろすのか、選手が進む道はそれぞれ。賛否が渦巻く中での五輪だったが、熱戦が感動をもたらしたことも事実。戦いを終え、新たな一歩を踏み出す全ての選手にエールを送りたい。

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