【浜口京子 気合でＧＯ！】いや～、２人とも強かった～。東京五輪レスリング女子５０キロ級の須崎優衣選手、男子フリー６５キロ級の乙黒拓斗選手、金メダルおめでとうございます！ 画面の前で大絶叫して、思わず呼吸を忘れるところでした。
須崎選手。この日は入場の際の表情がいつもと違って、怖さ、すごみが出ていましたね。五輪決勝の舞台で１分強のテクニカルフォール勝ちとは。強すぎます。外に逃げようとする相手をずるずると引き戻す貪欲さ。そして定番の形とはひと味違う必殺のアンクルホールド。相手選手は両足を触られたら最後、須崎選手のタイミングと速さ、勢いで回転させられてしまう。そのさまはまさに獲物にがぶりとかみつき、振り回して衰弱させるクロコダイル。今日の須崎選手は〝クロコダイル優衣〟でした。
乙黒選手は、目に見えないほどのスピードでフェイントをかけ、相手を翻弄していました。相手はやりにくかったと思います。グラウンドの攻防でも、乙黒選手のボディーバランスが光りました。相手がどうにかして乙黒選手を返そうとしても、絶対にポイントにならない絶妙な角度で回避できる。体幹、テクニックがなせる業です。世界中のレスリングファンが驚く強さだったと思う。まさに世界最高峰の〝エベレスト拓斗〟でした。
若い２人が最後に泣いている姿を見て、本当に苦労してきたんだな、と心を打たれました。小さい頃から親元を離れ、ＪＯＣエリートアカデミーでハードな練習に耐えてきた。一度は五輪の舞台が遠くなった須崎選手、世界選手権で連覇できず、悔しい思いをした乙黒選手と、いろんな困難に打ち勝ってきた。人間離れしたメンタルですよ。本当に素晴らしいものを見せてくれました。今は、感謝という言葉しか浮かんできません。（アテネ、北京五輪女子７２キロ級銅メダリスト）
