サムスンが日本の輸出規制対象「EUVフォトレジスト」を米インプリアから調達へ

サムスン電子が、極紫外線(EUV)露光工程の核心素材であるフォトレジスト(PR)の輸入を多様化する。サムスンは米国の半導体材料メーカーであるインプリア(Inpria)のEUV用PRをすぐにも適用する計画だ。インプリアは鉱物ベースのEUV PRを作成する世界唯一の供給社だ。

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韓国の専門メディア「ETNEWS」は、半導体業界への取材をもとに、「サムスン電子は年内に、システム半導体ラインに、インプリアのEUV PRを導入する計画であることがわかった」とし、「対象は確認されなかったが、インプリアが作るPRは超微細工程に利点がある素材であることから、5ナノメートル(㎚)のような最新のファウンドリのプロセスに活用されることが予想される」と報じた。

続けて、「インプリアは、サムスンに供給するためにEUV PR保管設備など国内(韓国)に諸インフラを整備していることが分かった」とした上で、インプリが米国で生産したEUV PRを韓国に持ち込み、サムスン電子の工場に納品する計画であると伝えた。

PRは、半導体回路を作るためにウェハ上に塗布する素材である。インプリアのPRは有機物で構成された既存のPRとは異なり、分子サイズが約5分の1水準の鉱物ベースのPRを作り、これまでより密で鮮やかな回路パターンを形成できると同紙は説明している。

EUV用フォトレジストは、2019年7月に日本政府が対韓国輸出規制(輸出管理強化)の際に、フッ化水素やフッ化ポリイミドと共に個別許可の対象とした素材である。最先端の半導体を作るうえで欠かせない核心素材であることから、サムスン電子はこの輸入先を多様化することでリスクをヘッジする構えだ。韓国内でも国産化の動きがあるが、量産には至っていない。米デュポンがEUV用フォトレジストの工場を韓国に設立することで合意している。

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