これが最後!京都鉄道博物館にて配給車「クル144・クモル145」特別展示開始

京都鉄道博物館では、2021年8月6日から18日までの間、JR西日本所属の配給車「クル144・クモル145」の特別展示を行います。今回は、その入線シーンなどの様子をレポートします。

配給車とは、車両工場と車両基地間で部品等を輸送する車両です。大きな部品も載せられる屋根のない荷台があり、トラックを思わせる外観が特徴。かつては多くの配給車が活躍していましたが、輸送手段の主力がトラックになったことなどからその需要が低下。現在残っているのは今回展示されるクル144、クモル145の2両のみです。

部品を載せる荷台。屋根はありません

しかしこの2両も、ここ数年は部品輸送に使われることはなく、もっぱらレール磨きのためにときどき走行するだけでした。今年度中の引退が決まったため、今回の展示が最後の展示となります。

展示場所は、京都鉄道博物館の本館1階「車両のしくみ/車両工場」エリア。このエリアでは、本線からの引き込み線を利用した現役車両展示がしばしば行われます。

入線が行われたのは、8月6日の14時。引き込み線の周囲には、多くの鉄道ファンの姿がありました。夏休み期間中であることから、親子連れの鉄道ファンの姿も見られます。

悠然と姿を現したクル144・クモル145
ゆっくり、ゆっくり入線していきます
長い荷台は迫力たっぷり
無事入線完了。「さよなら展示」のボードも置かれました
展示用のヘッドマークもつけられています。「さよなら」が切ない

入線後には、クモル145の荷台と運転席が報道向けに公開されました。屋根がない荷台のほか、小さな部品や作業員の方たちを運べる屋根つきのスペースがあります。

広々と感じる荷台。どんな部品を載せて運んだのか想像するのも楽しい
屋根があるスペースには、小型の部品や雨に濡らしたくない部品を載せます
作業員の方などが乗るときのための座席
レトロな扇風機。夏の移動は暑そうです
運転席の様子
運転台は、国鉄時代の車両ほぼそのままです

「日本にもう一編成しか残っていない、不思議な形をした車両。最後に見ていただけたら、この車両にとっても幸せなのでは」という担当者の思いから実現した、クル144・クモル145の展示。引退後は廃車予定のため、間近でこの姿を見ることができるのはこれが最後の機会です。

車両横には説明パネルも設置されていました

クル144・クモル145の展示期間中には、配給物の積み下ろし実演などのイベントが開催される予定です。さらに最終日の18日の14時からは「お別れセレモニー」として出線シーンの公開も予定されています。

文/写真:鶴原早恵子

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