76回目 8月9日 長崎原爆の日 遺族や被爆者ら犠牲者を追悼

平和祈念式典会場となる平和公園にささげられた折り鶴=長崎市

 被爆地長崎は9日、76回目の原爆の日を迎える。長崎市松山町の平和公園で午前10時45分から「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれ、遺族や被爆者らが犠牲者を追悼する。今年は1月に核兵器禁止条約が発効。国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長は8日、報道陣の取材に、日本政府が第1回締約国会議にオブザーバー参加することは「すごく重要」と述べ、「被爆国としての知見、経験を持つ日本が貢献できる」との認識を示した。

 式典は新型コロナウイルス感染防止のため、参列者を招待者だけに制限するなど、昨年同様に規模を縮小する。原爆犠牲者の遺族や被爆者のほか、菅義偉首相、米国やロシアなど核保有国7カ国を含む64カ国の大使らが参列予定。
 7月末までの1年間に死亡が確認された被爆者と「被爆体験者」計3202人の原爆死没者名簿3冊を奉安し、累計奉安数は18万9163人分となる。原爆がさく裂した午前11時2分に黙とうをささげる。
 田上富久市長は「長崎平和宣言」で、日本政府と国会議員に対し、核兵器禁止条約の第1回締約国会議へのオブザーバー参加と条約の署名・批准を要請。核なき世界の実現に向けた強い決意を世界に発信する。
 被爆者を代表し、これまでで最高齢となる岡信子さん(92)が「平和への誓い」を読み上げる。16歳で被爆し大けがをしながら、看護学生として救護に当たった壮絶な体験を語り、核兵器廃絶を訴える。
 屋内会場の長崎ブリックホール(茂里町)と原爆資料館ホール(平野町)は午前9時半に開場。式典の映像を中継する。新型コロナ感染対策として、座席数は定員の5割を上限とする。
 県内各地でも平和集会や追悼行事が営まれる。

被爆76周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

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