【東京五輪】組織委・武藤氏「中止検討なかった」と言いつつ「何でもかんでも開催」も否定

東京五輪の会場となった国立競技場

東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は大会閉幕から一夜明けた9日、都内で記者団の取材に応じ、五輪史上初の延期となった激動の大会を総括した。

武藤氏は「たくさんの困難に直面し、一つひとつ関係者と相談しながら解決して山も谷も越えてここまで来た」と振り返りつつ、新型コロナウイルス禍での開催について「コロナとの闘いは大げさにいうと人類史上、100年に1度。めったにない人類の危機の中で五輪開催は是か非か、大変重い決断をせざるを得なかった」と話した。

今年に入って新規感染者数が増大。医療崩壊の危機もささやかれ、一時は開催反対が7割を超えた。それでも世論を無視して強行開催に向かう姿勢が疑問視されたが、武藤氏は「開催ありきではないかという批判も耳にしましたが、そう単純なものでもない。開催することの意義、開催しないことのメリットを慎重に考え、コロナさえうまく抑制できれば開催すべきだというのが我々の結論でした」と打ち明けた。

記者団から「開催ありきではないなら中止も検討したのか?」と問われると、武藤氏は「中止を検討したことはありません。何でもかんでも開催、何も議論しないで開催が大前提となっていたわけではない」と否定。その上で無事に開催できたことに「開催したことの評価・意義が重要だと思っている。やればできるって言いますか、コロナ対策を講じながらやる意義、人々へ勇気を与えることができたのではないか」と自信を深めていた。

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