「黒焦げの遺体が並ぶ焼け野原を歩いた。まさに地獄だった」。長崎市に原爆が投下された76年前の8月9日午前11時2分、田中芙己子さん(82)=日南市戸高2丁目=は爆心地から約4キロの疎開先にいた。翌日、母親に手を引かれて父親を探してさまよった爆心地の地獄絵図が昨日のことのように目の前に浮かぶ。若い頃は差別を恐れ、被爆者であることを隠していた。語り部の中には年を取り、亡くなった人も多い。繰り返してはいけない歴史の証人として「被爆体験を伝え、核兵器根絶の願いを次世代に託したい」と今年も胸に刻んだ。
核兵器根絶、次世代に託す 日南・田中さん
- Published
- 2021/08/10 09:25 (JST)