木下雄介投手との約束果たし…宇野勝氏「大野雄大のコメントにジーンときたよ」

天に向かって金メダルをかざした大野

【宇野勝 フルスイングの掟】東京五輪・野球で侍ジャパンが金メダルを獲得した。ペナントレースとはまた違った緊張感の中で5戦全勝は立派なことだ。稲葉監督はじめコーチ、選手、関係者の皆さん、本当におめでとう!

中日からただ1人、侍ジャパンに参加した大野雄大投手にも拍手を送りたい。登板したのは準々決勝・米国戦での9回1イニングだけだったが、野球というのは1回をしっかり抑えることで流れが変わる。1点ビハインドの場面で3人で抑えたことでその裏、同点に追いつき、延長タイブレークでのサヨナラ勝ちにつながった。決勝戦で侍ジャパン最年長の大野雄がブルペンで待機していたこともチームにとっては大きかったはずだ。

表彰式も良かった。大野雄が3日に亡くなった中日・木下雄介投手に向けて金メダルを夜空に掲げていた。「『大野さん、金メダル取ったら見せてくださいね』と約束をしていたので、アイツに報告できたので良かった」という大野雄のコメントにはジーンときたよ。

今大会で日本は金27個を含む史上最多58個のメダルを獲得した。侍ジャパンをはじめ日本選手の活躍が光ったが、名古屋市民として残念だったのが、河村たかし名古屋市長が表敬訪問に訪れたソフトボール日本代表・後藤希友投手の金メダルをかじったことだ。あれはもう、絶対にダメだね。やっちゃいけないことだと思う。コロナうんぬんということじゃなく、金メダルというのは本人が一番大事にしたいもの。それをかじるなんてあり得ないことだ。河村市長はよくメダリストがメダルをかじるポーズをとっている場面を思い浮かべてああいうことをやってしまったのかもしれないが、デリカシーのなさが出てしまった。批判を浴びても仕方ないと思う。

大野雄は11日からチームに合流するというが、こういう問題で大騒ぎとなっているだけに名古屋市役所へ表敬訪問する必要などない。13日からプロ野球は後半戦がスタート。ドラゴンズの巻き返しに向けてしっかりと調整してほしい。(本紙評論家)

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