西武の“誤算”と思わぬ副産物 故障者続出も呉念庭らが台頭、勝負の後半戦へ

西武・呉念庭【写真:荒川祐史】

「4、5、6番が全部いない」苦境からのスタート

西武は首位オリックスに6.5ゲーム差の5位で、今季前半戦を折り返した。辻発彦監督が就任した2017年以降、優勝2回でBクラスが1度もない獅子にとっては大誤算。要因は主力に故障者が続出したことだ。とはいえ、代役として出場機会を増やした若手の中から、呉念庭内野手らが急成長。後半戦は従来の主力と台頭した勢力の融合で巻き返しを狙う。

開幕直後から、故障者が相次いだ。栗山巧外野手は下肢の張り、山川穂高内野手は3月30日・日本ハム戦で1号2ランを放ちダイヤモンドを回っている最中に左脚を痛め、戦線を離脱した。外崎修汰内野手に至っては、4月3日・ソフトバンク戦で死球を受けて左足の腓骨を骨折し、不在が約3か月に及んだ。辻監督が「最悪です。4、5、6番(山川、栗山、外崎)が全部いない」と悲鳴を上げる事態に陥った。

5月下旬には源田壮亮内野手が新型コロナウイルスに感染。木村文紀外野手は腰痛がようやく癒えた後、源田の濃厚接触者に特定され、チームの“悲劇”は止まらなかった。

しかし、転んでもただでは起きない。山川、外崎の代わりにスタメン機会を増やした6年目の呉念庭内野手は、今季打率.272、7本塁打、チーム最多の42打点をマーク。得点圏打率.403は、規定打席数以上の選手でリーグ2位にランクされている。山川、外崎の復帰後も、スパンジェンバーグらから出場機会を奪い、三塁などでスタメンに名を連ね続けている。

手薄と言われ続けた先発投手陣も高橋が好調、今井は成長

愛斗、岸潤一郎の両外野手も出場機会を激増させた。愛斗は8本塁打36打点とパワーを発揮。明徳義塾高時代に“二刀流”で甲子園を沸かせた岸も、初回先頭打者本塁打2本を含む5本塁打などでアピールしている。

今季20盗塁でいまだにリーグトップのドラフト4位ルーキー・若林楽人外野手が、5月30日・阪神戦の守備中に左膝前十字靭帯損傷の重傷を負い、今季中の復帰が絶望となったのは残念だが、後半戦はほぼ顔ぶれが揃うことになる。

手薄と言われ続けてきた先発投手陣も、今季は初の開幕投手を務めた高橋光成投手がハーラートップに1差の8勝(4敗)を挙げ好調。5年目の今井達也投手も6勝3敗、リーグ4位の防御率2.60をマークし成長の跡を見せている。

苦渋のやり繰りを経て、結果的に選手層が厚みを増した獅子。巻き返しは十分望めそうで、2年ぶりの優勝も決して不可能ではない位置に付けている。(Full-Count編集部)

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