「カン、カン」辺野古の海に響く作業音...岩盤固定へ砕く場面も 記者が見たサンゴ移植

 【名護】名護市の辺野古の浜から2キロ沖の海中をのぞき込むと、ホンダワラなどの藻類が生い茂る藻場が見えた。10日正午すぎ、ダイバーによるサンゴの植え付け作業が始まった。「カン、カン、カン」。海中ではハンマーで岩盤をたたく音が鳴り響く。手のひらサイズに割られたサンゴの断片が、接着剤で固定される。岩盤には不自然な形のサンゴが並ぶ、異様な光景が広がった。 作業開始は午前9時すぎ。作業船や警戒船など、合わせて8隻以上はいる。その周りには市民が乗るカヌーが7艇、抗議船が2隻、一定の距離で作業を見つめている。立ち入り制限区域を示すフロートの内外で、日々繰り返される激しい抗議行動はない。真夏の日差しが照りつける中、海上は不気味なほど静かだった。

 海中で作業員は、ハンマーや針金ブラシで岩盤を削り平らにする。サンゴの断片を接着剤で固定し、ピンク色と黄色のタグを付け、写真を撮った。植え付けられたほとんどがキクメイシ科のサンゴ。同水域では約830群体のサンゴが移植される予定。午後1時半時点で、少なくとも120群体は植え付けられていた。 ヘリ基地反対協議会の市民によるとこの水域は数年前、サンゴの白化があった。岩盤にはサンゴの残骸が転がり、自生するサンゴもほとんどない。作業員は残骸を手で払い、整地していた。ある作業員は岩盤に固定するサンゴの形が合わずその場でサンゴを砕いていた。水面から監視していた40代の女性は「移植とは言うが、破壊と何が違うのか」とため息交じりにつぶやいた。

 (喜屋武研伍)

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