脱プラスチックから脱容器へ

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昨今の廃プラスチック問題への関心の高まりを受け、企業ではプラスチック製の製品や容器包装の使用量を削減したり、環境負荷の低い原料に変更したりするなど、様々な取り組みを行っています。一方で、このコロナ禍で在宅勤務が増え、家で過ごす時間が増えている方も多いのではないでしょうか。

イギリスのある大手製薬会社では、在宅勤務時のプラスチック使用削減を促すアプリを開発し、全世界の法人で取り組みを推進しています。そこでは、「プラスチックの削減」、「マイクロプラスチックを回避」、「プラスチックの再利用」、「自宅での分別」、「ゴミ拾い」、「外出先での分別」という6つの項目の中から、実際に取り組んだ項目を選択します。すると、1つの行動につき0.1ポンドが環境保護NPOに寄付される仕組みになっています。そして、全世界で順位を競い、点数が高かったチームや個人には賞金などの報奨がつきます。

「エコバッグを利用した」「使い捨てでないドリンクカップを利用した」「プラ包装されていないフルーツや野菜を購入した」など、身近なところから始めることができ、しかも全世界の家庭で共通して取り組めるものであり、楽しく実践できます。日本法人で取り組んだ社員からは、「アプリに入力することがモチベーションとなって、身の回りの環境問題について関心が高まった」「社内SNSでお互いのアクションを情報共有することで、新しい気づきがあった」などの感想があったそうです。このような家庭での一つ一つの取り組みが、大きな効果を生んでいくものと期待しています。 

プラスチック対策は空の上でも行われています。日本のある航空会社では、機内食で使用するプラスチック製のカトラリーやマドラーを木製のものへ、ストローはバイオプラスチック製のものへと変更しました。そして、今年8月からは、日本の航空会社としては初めて、国際線エコノミークラス機内食の主菜容器をプラスチック製からバガス(サトウキビの絞った後の繊維)素材へと変更します。同社は、これらの取り組みを推進し、2050年までに資源類の廃棄率をゼロにすることをめざしています。

このような脱プラスチックの取り組みが進む中、さらに容器自体を食べられるようにすることで、ゴミの削減に貢献している企業があります。紙製のストローを開発した企業が耐水性の問題に直面したように、同社も強い耐久性を持つ食べられるトレーの開発には苦労したようですが、現在は食べられる箸も開発しており、今後はフォークやスプーンなども順次開発するとしています。まさに脱容器を実現する取り組みです。

このような技術開発により、個人のライフスタイルの変更が進むことで、持続可能な社会を構築していきたいものですね。

写真:https://pixabay.com/photos/coffeetogo-disposable-cups-pollution-3926395/

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