エアコンのつけっぱなしは本当に節電効果があるの?

日々の生活に欠かせない家電製品。当たり前のように使っていますが、正しい使用法や、お手入れ法、買うときの注意点など意外と知らないことは沢山あります。今回のテーマは、この夏大活躍の家電「エアコン」です。

より便利に使うために、知らないと損する「家電の豆知識」を、総合家電エンジニアの資格を持ち、幅広い家電の専門知識に詳しい“家電スペシャリスト”の本多宏行さんに「賢いエアコンの使い方」について聞いてみました。


目次

■こまめに消すのはいいこと?
■ベストな温度設定は何度?
■サーキュレーターの併用の仕方
■エアコンの効きが悪い原因は?
■フィルターのお手入れの頻度


節電のつもりでこまめに消すのは間違い

エアコンを使う際、節電のつもりで電気をこまめに消す人が多くいるようですが、これは大きな間違い。実はつけっぱなしの方が電気代はお得です。

エアコンは運転開始時に大きな電力を必要とします。一方で安定運転に移れば、実はほとんど電力を使わないのです。開始時のコストを安定運転になるまで1時間を要すると仮定して比較すると、

冷房1320W(120W~1420W)の商品
冷房運転開始から1時間 ⇒ 約37円(1320W)
安定運転に移って以降 ⇒ 約3円 (120W)

こんなに違います。さらにこれを踏まえて、1日の電気料金を比較してみると

24時間動作 ⇒ 約37円 × 1時間 + 約3円 × 23時間 = 約106円
12時間動作を2回 ⇒ 約37円 × 2時間 + 約3円 × 22時間 = 約140円

電源をこまめに切ったり入れたりするほど、電気代は高くなってしまうのです。

ベストな温度設定は何度?

一般的に「エアコンの設定温度は28度が適温」と言われますが、真夏はもう少し下げて25~26度くらいでも良いと思います。そしてモードは「オート」が断然オススメです。
風量や風向きを調整しようとリモコンを操作すればするほど電気代はかかるし、効き方も一定ではなくなります。

たとえば外出先から帰った際、設定温度を一度下げてから、戻したりするのではなく、最初から適温に設定しておき、あとは「オート」にお任せ。設定温度を上げて体感温度だけ下げたい場合には、冷房ではなくドライモードを活用しても良いかもしれません。

サーキュレーターの併用で快適な室内に

さらにエアコンをよく効かせたい場合には、サーキュレーターの併用もオススメです。ポイントはやや斜め上か、前上に向けて置くこと。そうすることでお部屋の空気を上手に循環させてくれるので、部屋中、満遍なく涼しい気温を保つことができます。

「扇風機ではダメ?」という質問もよくされますが、はっきり言って効果の面では大きな差があります。風を人に当てることを前提としている扇風機では風量も弱く、部屋の空気を循環させるという点ではあまり効果を発揮してくれません。

エアコンの効きが悪い原因は外にあるかも?

室外機の周辺に障害物を置くと熱交換率が下がって、エアコンの効きも悪くなるので要注意です。ある程度の距離をおけば大丈夫なので、人ひとりが余裕をもって通れるくらいのスペースを確保してください。

真夏などは、遮熱フードなどで影を作ったりして、室外機の温度が上がりすぎないような工夫もしてあげましょう。

フィルターのお手入れは2週間に1回

最近はフィルター自動掃除機能を有したエアコンが大半なこともあり、ついつい掃除を後回しにしてしまいがちです。でもあまり放置しておくと、エアコンの効きが悪くなり、電気代が上がる原因にもなります。定期的に掃除機で埃を吸い取ったり、水洗いしてお手入れしましょう。

24時間稼働させている場合は、2週間に1回くらいが目安です。メーカーによっては、24時間稼働していると一旦動作を止めて、フィルター自動掃除機能が始動するタイプのものもありますが、それでも目安は2週間に1回と認識しておきましょう。

「エアコンはつけっぱなしの方が節電になる」という事実、知らなかった人も多いのではないでしょうか?残暑も厳しそうな今夏。正しく使って、より快適な毎日を送りましょう!

取材協力

本多宏行

大手自動車ディーラーでメカニックを経験した後、1999年にテックマークへ入社。自動車の修理精査から始め、2000年頃から家電、PCの修理精査業務を開始。ガス製品(ガス給湯器、ガスコンロ等)や住宅設備(電気温水器、換気扇、浴室乾燥機、温水洗浄便座)に係る精査業務を行うなど、保証制度の進化と幅広い家電製品の専門知識が必要となる「総合家電エンジニア」資格を取得し、現在、延長保証を利用した修理の精査業務で活躍中。

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