【中国】東京五輪でスポーツ用品特需[商業]

販売5倍近くに、今後も成長へ

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東京五輪の開催を受けて、中国ではスポーツ用品の特需が生まれたようだ。一部の電子商取引(EC)サイトでは、開催期間中のスポーツ用品の販売額が5倍近くに急伸した。世界的なスポーツ大会に注目が集まった上、世界2位のメダル数を獲得した中国チームの好調な成績も販売を押し上げる要因になったとみられる。北京冬季五輪の開催を来年に控える中、中国のスポーツ関連市場は成長が続く見通しだ。

北京日報などが伝えた。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音」系のECサイト「抖音電商」が発表した自社サイトでの五輪期間の販売状況に関する報告によると、競技開催期間(7月21日~8月8日)のスポーツ用品の販売額は前年同期から約4.7倍に急伸した。

競技別で見た人気のスポーツ用品は、バスケットボール用品が1位。関連のウエアやシューズ、子ども用バスケットゴールの引き合いが強かった。2位以下は、水泳、バドミントン、テニス、卓球、サッカー、ボクシング、スケートボードの順だった。

いずれもウエアやシューズが売れ筋。上位種目では子ども向け用品の購入も目立ち、子どものうちからスポーツをさせたい親世代の意向が反映されたという。

中国人に従来から人気の五輪種目の用品に加え、スケートボードやクライミング、サーフィン、野球といった中国ではややマイナーな種目の用品が売れたことも今回の特徴。特にスケートボード関連の販売は4.5倍と強く伸びた。スケートボードで中国代表選手が決勝に進出したことと強い関連があるとみられている。クライミング用品は約3.9倍で、サーフィン用品と野球用品はともに2倍以上となった。

売れ筋のスポーツブランドは、中国の「鴻星爾克(ERKE)」が首位。2位以下は「アディダス」、「貴人鳥(GRN)」、「李寧」、「安踏(ANTA)」の並びとなり、上位5ブランドのうち4ブランドは国産ブランドだった。品質の向上などを背景に、中国人消費者が国産ブランドを重視する「国潮」の流れが広がっている。

開催期間中は、抖音のプラットフォームを通じたショートムービーによる五輪競技の視聴回数が240億6,000万回に到達。「いいね(点賛)」の回数は6億1,800万回だった。動画共有アプリ「快手」では、五輪に関連するコンテンツの視聴回数が今月8日までに730億回を記録した。

五輪期間中にスポーツ用品の販売が伸びる流れは他のECサイトや実店舗でも広がり、このうち京東集団(JDドット・コム)のECサイトでは、7月23、24日の国産ブランドを対象としたスポーツ用品の販売額が前年同期から6倍に急伸。中でもジョギングシューズとトレーニングシューズはともに6倍、バスケットシューズは2倍以上となった。

国内各地では五輪観戦客を当て込んだサービスを打ち出す飲食店の動きも出た。五輪開催期間は中国で新型コロナウイルスの国内感染が急拡大した時期と重なったこともあり、自宅で観戦するための関連消費も伸びたと考えられる。

■政策支援が追い風

中国のスポーツ関連市場は、国の支援を強い追い風に今後急速に拡大するとみられている。

中国国務院(中央政府)は3日、全国民がスポーツに参加できることを目的とした2021~25年の計画を発表した。スポーツ施設の建設などを通じて国民のスポーツ参加率を高める狙い。25年にはスポーツ産業を5兆元(約85兆4,000億円)の規模とする目標で、19年(2兆9,483億元)から約2兆元積み上げる。

市場では、今回の政策支援によって、「中国のスポーツ用品市場が黄金期を迎える」との見方が出ている。スポーツとエンターテインメントの2業界による提携案件が増え、スポーツ消費の巨大な需要が生まれるとの指摘もある。

■関連消費3割増に

実際、中国人のスポーツ消費は増えている。京東ビッグデータ研究院がまとめた17~20年のスポーツ消費に関する報告によると、20年の国民1人当たり平均のスポーツ消費額は前年から31%増え、金額ベースでは約600元となった。17年の約350元から目立って増加した。

消費群の主力は26~35歳の層で、全体の4割以上を占めた。36~45歳は26%、16~25歳は22%。男性の消費額は女性よりも1.27倍多く、17年の1.11倍から差が開いた。沿海部大都市の1級都市の住民はスポーツ関連サービス、アイススケート・スキー、水泳、ヨガに消費するのに対し、その他都市は釣りやスポーツウエア・シューズ、武術などに資金を投じる傾向があった。

年齢層別の主力となる消費対象を見ると、16~25歳は「スポーツウエア・シューズ」、26~35歳は「ローラースケート、釣り、スキー」、36~45歳は「ローラースケート、武術」など、46~55歳は「アウトドア、スポーツ用プロテクト用品」、56歳以上は「(中国こまなどの)古典スポーツ、武術、釣り」となり、年代別に傾向が分かれた。

浙江省寧波市政府が初めて発表した市内のスポーツ消費に関する報告では、同市の20年のスポーツ消費は252億4,402万元となった。1人当たり平均は2,684元で、平均可処分所得の4.5%を占める計算。このうちスポーツ用品の購入には1,843元を充てた。

同じく初めて同様の調査結果を発表した山東省日照市では、20年の1人当たりの平均スポーツ消費額は約1,941元と平均可処分所得の6.8%を占めた。所得水準の高い1級都市ではさらに多くの支出をスポーツ消費に充てていると予想される。