柔道金・阿部詩、羽生結弦の意識を変えた食の専門家は「朝食の重要性」と「メニューの工夫」を強調

金メダルを獲得した阿部詩。囲み写真は栗原秀文氏

東京五輪柔道女子52キロ級で金メダルを獲得した妹の阿部詩(21=日体大)は「食」に関心を示さないタイプだった。サポートした味の素ビクトリープロジェクトの栗原秀文シニアディレクター(SD=45)によれば、初めは練習前に食べることを極端に嫌がっていたという。

そこで栗原SDは過去の五輪で活躍した選手やそうでなかった選手の話を紹介。その上で午前の予選から100%の力が出せるように朝食の重要性を訴えた。これはフィギュアスケート男子で五輪2連覇の羽生結弦(ANA)にも伝えてきたことで「彼には(2018年)平昌(五輪)に向けて2シーズンぐらいしっかり食べて練習に行くというのをやってもらっていました」。

また、詩は厳しいトレーニングでケガをしやすい一面があるといい、栗原SDは「練習前のエネルギーを入れていないから、タンパク質が分解してケガしてしまう。〝名誉の負傷〟で片付けてはいけないんです」と力説した。詩は昆布だしや梅昆布茶を好む和食派の一方、たらこパスタやカレーも好物だという。栗原SDは「普通、管理栄養士が選手の提案に、たらこパスタやカレーは絶対入れないですよ。でも、それを入れつつ副菜などで工夫して。とにかく毎日続けてもらうことが大事でした」と振り返った。

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