【夏の甲子園】史上初1年生サヨナラ弾の横浜・緒方漣は〝源田クラスのスーパープレーヤー〟の評価

守備職人としての評価も高い横浜・緒方漣

【ズームアップ甲子園】シンデレラボーイが現れた。第103回全国高校野球大会(甲子園)の第2日(11日)第2試合は横浜(神奈川)が広島新庄(広島)に3―2で逆転サヨナラ勝ち。チームを劇的勝利へと導いたのが、土壇場で逆転サヨナラ3ランを放ったリードオフマン・緒方漣内野手(1年)だ。

2点を追う9回二死一、三塁。窮地に追い込まれた打席で1ボールから3番手左腕・秋山の直球を渾身の力で振り抜き、左翼へミラクルアーチを突き刺した。今大会1号は自身にとっても忘れられない公式戦初本塁打。しかも1年生のサヨナラ弾は大会史上初で、まさに記録ずくめだ。試合後は「頭が真っ白になった。スタンドに入った瞬間、すごくうれしかった。人生で一番いい当たり」と照れくさそうに振り返った。

両軍無得点で迎えた3回の第2打席では無死一塁から送りバントを失敗していた。「そこで下を向いていては次のプレーはできない。切り替えてやっていこうと思った」。ミスを引きずらず前向きな気持ちを抱き続ける姿勢が、最後に奇跡を呼び起こした。聖地初采配で白星をプレゼントされる形になった村田監督も「最後は緒方がやってくれるんじゃないかという期待はあった。守備もそうだが、もともとバッティングでも評価していた」と目を細めた。

167センチの小兵ながら抜群の守備力を買われ、名門・横浜の正遊撃手として1年生で唯一の野手先発メンバーに抜てきされた。中学時代から所属のオセアン横浜ヤングで遊撃手として活躍し、昨年のヤングリーググランドチャンピオン大会を制して全国制覇を経験。サヨナラアーチで打棒に目が行きがちだが、実は守備職人としての評価が高い。

「中学時代から全国の高校関係者の間で『とんでもないショートがいる』と話題になっていた。捕球からスローイングまでの動作が異常に速く、グラブさばきも天才的。遊撃方向に飛んだ打球は際どい当たりでも難なくアウトにしてしまうから、その広い守備範囲が『緒方ゾーン』と呼ばれている。横浜の名だたるOBたちも一様に『1年でここまでうまい内野は見たことがない』と舌を巻いている。しかも、この日証明したように打撃センスも抜群。このまま成長していけば西武の源田のようなスーパープレーヤーになる」(高校球界関係者)

17日の2回戦は智弁学園(奈良)が相手。強豪同士の好カードでは緒方の守備力にも注目が集まりそうだ。

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