【検査を受けてみた】ワクチンで抗体はついたのか?

第5波とも呼べる新型コロナウイルスの感染が広がっています。
今回は特に20〜30代の若い世代を中心に感染者が増えていますが、若い世代は行動範囲が広いことが多く、さらなる感染拡大が懸念されている状況です。
一方、頼みの綱のひとつであるワクチンの接種状況は、2回接種が完了した人の割合は25.7%(7月26日時点)となり、約4分の1が接種を終えたことになります。
大まかに考えると高齢者人口と同じくらいの人数で接種が完了していますが、まだまだ先進諸国とくらべると遅れをとっているといえわざるをえません。
筆者は、2回目のワクチン接種から2ヶ月が経ちました。
1回目から数えると約3ヶ月になります。
発熱や接種部位の痛みという典型的な副反応はあったものの、それ以後特に体調の変化はなく、接種前と変わりなく過ごしています。

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そもそも抗体ってなんだっけ?

抗体はウイルスなどの病原体に対して体を守る働きをするものです。
体にウイルスが侵入すると、それに応じた抗体が体の中で作られます。
今、日本で使われている新型コロナウイルスワクチンはmRNAワクチンといい、新型コロナウイルスの一部(=スパイク蛋白)を作り出すための設計図(=mRNA)を接種し、体の中でどんどんスパイク蛋白を作り出し、それに体が反応して抗体が作られるしくみです。
抗体には種類があるのですが、ウイルスの排除に特に関わっているのがIgM(アイジーエム)とIgG(アイジージー)です。
IgMは感染(ワクチン接種も含め)から数日と早い時期にできて、その後なくなります。
一方、IgGはIgMよりも遅れてできて、長い期間体に残ります。
そのため、血液中のIgGの量を調べることで、長期的な抗体ができているかどうかの目安にできます。

抗体検査はあくまで目安

そんなわけで、新型コロナウイルスIgG抗体定量検査(SARS-CoV-2IgG(S))を受けてみました!
まず、大事なことですが、抗体検査はコロナウイルス感染を診断するためのものではありません。
そのため保険適用はなく、自費の検査になります。
さらに、抗体量を調べて万が一抗体がついていなかった場合でも、現時点で3回目を接種するという選択肢はありません。
抗体がついていた場合でも、基準値が明確になっていないので、それが十分な抗体量であるかどうかは分からないことをご理解ください。
筆者自身は、あくまで接種したワクチンに対してどのように体が反応したのか、副反応はそれなりにあったけれど実際に抗体が産生されているのかを知りたい、時間の経過とともにどうなっていくのかを知りたいという気持ちで検査を受けております。

結果:11,376AU/mL

しっかりワクチンに体が反応して、IgG抗体ができていたようです。
唾液で行う簡易抗体検査もありますが、市場に流通している抗体検査キットは陽性か陰性かの判定のみになります。
今回受けたものは血液検査で抗体量を測るものなので、簡易キットとは異なります。

必要十分な抗体価はまだ調査中

さて、やはり気になるのが11,376AU/mLという値が、新型コロナウイルスの感染を抑制したり重症化を予防したりするのに十分な値なのかということです。
前述の通り、残念ながら現時点ではっきりとした答えがでていません。
抗体価とワクチンの効果や、抗体価の経時的な推移に関しては、世界中で調査が行われている最中です。
抗体量が多ければ多いほど良いのか、それともある一定以上あれば効果は変わらないのか、またその目安となる値などは今後明らかにしていく必要があります。
ただ、10年以上世界で研究が続けられてきた「mRNAワクチン」がようやく実用レベルになり、実際に接種した結果自身の体に正しく免疫反応が起こったことに科学技術の進歩を感じました。
イスラエルでは8月から3回目の接種が始まり、今後日本でもどうなっていくのか注目されるところです。
日本はまだ必要とする人に接種ができていない状況で、現在40〜50代の重症者が目立ってきており、まずは少しでも必要な人へのワクチン接種が広まっていくことが望まれます。

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