【新型コロナ】5000円以下の「CO2センサー」半数以上が機能せず 研究機関が証明

 通販で入手できる安価な「二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)」の半数以上がまともに機能せず役に立たないばかりか、アルコールに反応して測定値が上昇するなど、いかにも正しく動作しているかのように「偽装」している可能性がある——。国内の研究グループがそんな衝撃的な実験結果を発表した。査読前ではあるが論文も発表されており、そこには具体的なメーカー名も明記されている。

通販で入手可能な、5000円以下のCO2センサーを調査

 新型コロナウイルスの感染防止策として、屋内の換気を常に行いウイルスがとどまらないようにすることが求められている。換気タイミングの指標として「二酸化炭素濃度」が推奨されていることから、コロナ禍になって「二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)」の需要が高まり、多種多様かつ安価なセンサーが通販でも入手可能になっている。しかし安価なものは、誤差表示など精度に関して何も表記されていないことも多く、信頼性に疑問が付されるものも少なくない。

 このような現状に対し、 電気通信大学の研究グループが新型コロナウイルス感染症の対策用として ECサイトで販売されている 5,000 円以下の安価な二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)の精度検証を実施し、その結果を論文として発表した。評価したのは実際に購入した12個のCO2センサーで、参照用として研究用、産業用にそれぞれ使われている測定器2つも同時に検証した。

なんと12個のうち8個が機能していないことが判明

研究グループが発表した検証結果のグラフ。半数以上が反応していない

 具体的には、水槽内に12個+参照用の2個を入れ、水槽内の空気の二酸化炭素濃度を変化させて測定値が変化するかを検証。その結果、12個のうち8個がCO2にまったく反応しないことが判明した。

CO2に反応しなかった8個について、アルコールを吹き付けて検証した結果

 研究グループではさらに、この8個が何の物質に反応するのかも検証した。消毒用アルコールを5ml ほど水槽内にスプレーしたところ、この8機種の測定値が 2~10 倍に急上昇した。このことから研究グループでは、この8機種については CO2 センサと表示されていながら、アルコール等や総揮発性有機化合物(tVOC)等の雑ガスに反応する「疑似センサである可能性が高いと考えられる」と評価している。研究グループでは「擬似センサ」と穏やかな表現にとどめているが、つまりいかにも動作しているかのように「偽装している」可能性が高いということだ。

 研究グループではこの結果をいち早く公表するため、査読前のものも公開できるサービスに論文を投稿、現在その全文がインターネット上で確認できるようになっている。編集部では全文を閲覧し、この8機種のメーカー名について表記されていることを確認したので、こちらにお知らせすることとする。なお論文ではっきりと書かれていたのはメーカー名のみで、具体的な型番は1機種を除いて記載がなかったので特定できないが、大手通販サイトで「メーカー名+CO2センサ」のワードで検索すれば販売されていることが確認できるはずだ。

論文で記載されていた、CO2に反応しなかった測定器のメーカー名または型番

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