入管施設で死亡の真相へ ビデオの全面開示を

 スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋出入国管理局の収容施設で収容中に死亡した事件で、死亡事件の真相究明のため、ウィシュマさんが亡くなる直前、2週間分の監視カメラのビデオ開示や解剖所見などの重要文書の開示を求める署名活動がネット広がりを見せ、11日中に5万人に達する見込み。

 真相究明を求める学生・市民の会は「彼女は歩けないほど衰弱し、入管に対し点滴を求め、仮放免申請(一時的に収容から解かれるための申請)も出していたが、入管はどちらも拒絶した」。

 また「ウィシュマさんが亡くなる2日前に診察を担当した精神科医は『診療情報提供書』に『仮釈放してあげれば、よくなることが期待できる。患者のためを思えば、それが一番良い』と、仮放免を求める内容を記録し、診察当日、同行した入管職員に対しても、その旨を口頭で伝えているのに、入管の中間報告では、医師から『仮放免の求めがあった』という事実を隠している」と指摘。

 そのうえで「ご遺族はウィシュマさんが収容されていた居室の監視カメラ映像の開示を強く求めている。しかし、入管は『保安上の理由』等を掲げ、ビデオ開示を拒んでいる。ビデオ開示をご遺族にさえ拒否するのはなぜか。入管にとって都合の悪い真実が明らかになるからか。このような態度は日本国民からの入管行政に対する不信感を招くだけ」とも提起し、集まった署名を添え、ビデオの全面開示と再発防止徹底、遺族への謝罪を菅義偉総理らに近々に求める方針。

 入管局は遺族に2週間分を2時間に編集したビデオを見せるとしているが、2週間すべてが開示されなければ、意図的な編集も疑われ、真相究明の客観資料にはなりにくい。このため、遺族も署名活動している人らも、全面開示を強く求めている。(編集担当:森高龍二)

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