内閣支持率は低迷、衆院選にむけて株価はどうなる?過去13回の解散総選挙時の株価推移を調べてみた

菅義偉首相が9月前半にも衆議院の解散に踏み切るのではとの見方が強まっています。一方でNHKが8月10日に発表した世論調査によると内閣支持率は29%で、菅内閣発足以来最低を更新しています。

今回は、衆院選に関係する株価のジンクス(法則)から株式相場の行方を探ってみました。


衆院選はいつ行われるのか

8月8日に閉会した東京五輪では日本人選手が目覚ましい活躍を見せてくれました。金メダルはこれまで最高だった16個を大きく上回り27個です。8月24日に開会式を迎えるパラリンピックでも日本人の活躍が期待されます。そして閉会式は9月5日に行われる予定です。

ここで衆議院選挙に向けた日程を確認しましょう。衆議院選挙は“任期満了による選挙”と“解散による選挙”の2つのパターンがあります。今の衆議院議員は10月21日に任期満了を迎えます。仮に解散されず任期満了を迎えると“任期が終わる日の前30日以内”に選挙が行われることが原則になります。

しかし第二次大戦後、解散されず任期満了を迎えたのは1976年の1回だけです。その1回について、当時の三木武夫首相の元での自民党が惨敗してしまった経験からも、“解散による選挙”が選択される可能性が高いとみられます。

東京五輪とパラリンピックで日本人選手の活躍の印象が冷めぬ前に、追加経済対策を視野に入れて、衆議院解散。そして公約に補正予算の大枠を盛り込んで衆議院選挙に向かう、というスケジュールがイメージできます。

具体的には、9月末に任期満了を迎える自民党総裁選挙との関係もあるため、9月上旬に衆議院解散、そしてその3週間後から1カ月程度に衆議院選挙の日程が考えられるでしょう。

<写真:Motoo Naka/アフロ>

内閣支持率と株価の関係

衆議院解散、そして選挙が近づくと、その結果を予想する上で内閣支持率が注目されます。NHKが8月10日に発表した世論調査によると内閣支持率は29%でした。これは菅内閣スタート以来で最低水準です。新型コロナ感染が広がるなか、その対策への厳しい評価が反映されたとみられます。

この内閣支持率ですが株価との間に密接な関係があることは、以前、この連載の「総裁選が転機?『内閣支持率が上がると株価上昇』は本当か」でも取り上げました。支持率が高いことは、内閣が強いリーダシップを発揮でき、例えば経済政策なども実行しやすいということや、基本的な国民の満足度が高い環境であるなどから、株価が上がる傾向と見られます。

ここで、内閣支持率と日経平均株価を並べて見てみましょう。

内閣発足時に新内閣への期待から支持率は高まります。その後一旦、下落する習性があるため、単純に株価との関係を見るのは難しい面もあります。とはいえ、次の傾向は見て取れます。昨年9月の菅内閣発足で高まった期待から、支持率は62%まで高まりました。日経平均株価もその流れを受けて上昇していました。しかし支持率が先行して下がるなかで日経平均株価も足元にかけて弱含んでいます。

新型コロナ感染者は8月9日に全国で新たに1万2,073人確認されました。1万人を上回るのは7日連続と感染が拡大しており、内閣支持率にとって厳しい環境です。今後、国民のワクチン接種率が更に高まり感染者数が抑えられてくれば、支持率上昇と株価も再び上昇への期待が高まるかもしれません。

イベントリスクに対する“調整売り”は?

ところで今後、衆議院解散、そして選挙を考えると、政治的な不透明感も拭えず株式市場も調整ムードが心配されるかもしれません。そこで、1980年以降、解散から総選挙までの日経平均株価の騰落率を調べて見ました。

意外なことに、過去13回の全てで株価は上昇しています。

実は、この表の調査とは別に、“解散日までの1カ月間”の日経平均株価の騰落率を見ると13回中で上昇は6回しかありませんでした。上昇した確率は46%にとどまっています。解散が決まるまでは、政治的なイベントがどのようになるのか不透明要因が高いため株価も下げやすいのでしょう。

一方解散が決まり、“解散後、選挙の日”まで株価が堅調な理由としては、(1)解散が決まることで、日程的な不透明な材料が出尽くし、これを映して株価がリバウンドすること、(2)選挙に向けて政策面に関する公約が公表されることに対して期待されること、そして(3)選挙後の新しい内閣に向けた期待が見られること、などがあげられます。

足元は解散前の可能性で株価は弱含み場面も見られますが、解散後の堅調な株価が期待されます。

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