中田翔の暴力行為はMLBなら即解雇…ボランティアや〝タダ働き〟させるケースも

日本ハム・中田翔

チームメートに暴力行為を働いたとして日本ハムの中田翔内野手(32)が球団から出場停止処分を科せられた。衝撃的なニュースは日本国内だけではなく、海の向こうのメジャーリーグにも波及。コンプライアンスに厳格とされるMLBで同様の不祥事が発生した場合、所属球団はどのような対処に踏み切るのか。

ア・リーグの極東スカウトは「MLBで自分の仲間に手を出すケースは近年聞いたことがない。それだけ中田が起こした暴力行為は異常な出来事であり、日本独特の問題と言える」と指摘した。

2002年のシーズン中に当時SFジャイアンツでプレーしていたジェフ・ケントとバリー・ボンズが試合中のベンチで口論の末に殴り合うなど、かつてはMLBでもチームメート同士のケンカがぼっ発していた時代も確かにあった。

しかしその後、MLBと選手会は乱闘も含めた暴力根絶に本腰を入れ、リーグ全体へと浸透。14年には選手個々のプライベートにも視野を広げ、恋人や知人、家族らへの家庭内暴力に対応する新規則の制定にも着手した。最近では先月2日にドジャースのトレバー・バウアーが女性から「暴行を受けた」と告発され、調査中のMLBと選手会に「休職」を命じられているのもその一環だ。

前出のスカウトは「MLBは選手のDV、性的暴行、児童虐待に対し、一切妥協することなく非常に厳しく取り締まっている。バウアーが無罪放免なら別だが、審理を経て暴行容疑が固まればかなり重い出場停止処分を食らうことは必至だろう」と説明。その上で「ノーモア・バイオレンス」がスタンダードとなった今のMLBにおいて、中田のように同僚に暴力行為を働く選手が仮に現れたとしたら「即刻解雇になる可能性が高い」とも強調し、こう補足した。

「先輩と後輩、上司と部下の関係性から起こり得る、いわゆる〝パワハラ〟という問題は米国では発生しにくい。年齢が離れていても、あるいは監督と選手であっても親しくなればお互いをファーストネームで呼び合うのがアメリカの文化。それはMLBも同じだ。先輩が後輩に圧力をかけ、暴力を振るった前例が皆無に等しいだけに当てはめようがないが、もしも中田のようなケースが出たら被害選手と同じチームで共存させることは難しい。そう考えれば、その加害選手は即座にファイヤー(解雇)されることになるのではないか」

一方で、こんな選択肢も浮上する。MLBでは所属球団が社会に反する行為や規律を犯した選手に対し「更生プログラム」を課す流れが、ここ最近では定例化しつつある。スポーツマンシップが著しく欠けるような行為を犯した選手や関係者には球団から出場停止処分だけでなく、長期間のボランティア活動を義務付ける例もあり「マイナーリーグの下部組織で『ボールパーソン(日本で言うボールボーイ)』として〝タダ働き〟させ、野球の原点にもう一度立ち返らせる事例もあった」(前出のスカウト)という。

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