戦争当時の記憶を今に伝える、生活の息遣いを感じるアプリをZ世代が開発

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。8月6日(金)放送の「FLAG NEWS」では、戦争体験者の想い・記憶の継承について着目しました。

◆広島市の黙祷への呼びかけをIOCバッハ会長が拒否

広島市などは8月6日の広島原爆の日に、東京オリンピックの選手らに黙祷を呼びかけるようIOC国際オリンピック委員会と大会組織委員会に文書で要請しました。これに対し、バッハ会長は「原爆の日の黙祷を呼びかける方針はない」と回答。バッハ会長は、さまざまな理由で亡くなった全ての人を追悼する時間を閉会式で設けると市に返答しました。

広島からリモートで出演した東京大学2年生の庭田杏珠さんはこの一件に関し、原爆の日や終戦の日、さらには昨年の終戦75年の節目など、そうした括りに縛られすぎていると示唆。その上で、「バッハ会長が大々的に黙祷を呼びかけなかったとしても、一人ひとりが祈りを捧げる、戦争や平和について思いを馳せることが大切」と主張します。

庭田さんはAIを活用するとともに資料や戦争体験者との対話から、戦争当時に撮影された白黒写真をカラー化する取り組みを行っています。そのプロジェクトについて「戦争体験のない若者による戦争体験者の想い・記憶の継承が重要になってくるなか、戦争や平和について考えることを他人事としてではなく、より自分事として考えてもらえるように取り組みを続けている」と言います。

今年1月には「核兵器禁止条約」が発効されましたが、核保有国のスタンスは依然として厳しい状況が続いています。そうしたなかで被爆地である広島ではどんなことを考えているのか、庭田さんに伺ってみると「写真提供者、戦争体験者が徐々に亡くなられ、話を伺う時間は限られていると感じている」と実感を述べ、「そうしたなかで唯一の被曝国である日本が、核非保有国と保有国の橋渡し役になることが重要」と指摘。さらに、戦争や平和について関心を持たない人に向けても、戦争体験者の想いや記憶をより多くの人に自分事として考えてもらえるように自身の取り組みを続けていきたいと意気込みを語ります。

◆五感を通して当時の生活を感じるアプリ「記憶の解凍」

庭田さんは白黒写真のカラー化だけでなく、広島の記憶を伝えるべく東京大学大学院の渡邉英徳教授とともにARアプリ「記憶の解凍」を開発。

これはカラー化した写真を現在の広島平和記念公園の風景に重ねて表示できるもので、「実際にアプリを使いながら平和公園を歩いてもらうことで、五感を通してかつての中島地区の生活の息遣いを感じることができるようになっている」と解説します。

そんな庭田さんの一連の活動に対し、キャスターの田中陽南は「白黒の写真だと歴史の1ページという感じだったが、色がつくだけでこんなにも近くに感じられるという驚きがあり、実際にそれを見ながら歩けるというのは素晴らしい技術だと思う」と絶賛していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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