上越は今〈1〉新型コロナワクチン 市独自方式で接種 速やかな進行へ方策 「指定」方式で混乱軽減

 令和3年の上越市は新年早々、記録的な豪雪に見舞われた。春には高田地区で市指定文化財2施設がリニューアルオープン。夏は聖火リレーなど東京オリパラ関連のイベントに沸き、秋の各選挙戦に向けた動きも加速。新型コロナウイルス関連ではワクチン接種が本格化し、佐渡汽船の小木―直江津航路の就航船舶変更についても進展があった。〝上越の今〟を6回に分けて連載する。初回は新型コロナウイルスワクチン。上越市内で初の同ウイルス感染症患者が昨年4月7日に確認されて以来、同市では今年8月11日時点で累計153人の感染が判明している。市は国の方針を受け、感染拡大防止に向けた同ウイルスワクチン接種を4月から実施。希望する市民へ速やかに接種を行えるよう、さまざまな方策を試みている。

一般市民への接種を推進するため、上越市は1月20日、健康づくり推進課内に「新型コロナウイルスワクチン接種事務室」を設置。円滑・安全な接種実行に向け準備を開始した。

市主体の接種初回4月11日

 市主体の初接種は4月11日。接種に関わる医療従事者を対象に行われた。同21日からは安塚区の特別養護老人ホーム「あいれふ安塚」を皮切りに、市内約70の福祉施設で入居者・従事者への接種が始まるなど、本格的な市民接種を前に医療・福祉関係者への先行接種が進められた。

 5月10日からは65歳以上の高齢者約6万2000人を対象に接種を開始。ファイザー社製ワクチンを用い、かかりつけ医などで接種を受ける「個別接種」と、市が日時や会場を割り振る「集団接種」により進行した。接種に際し、個別接種と接種を希望しない人のみが市に連絡し、それ以外の市民を集団接種対象と位置付け案内を送付する、市独自の指定方式を採用。これによりコールセンターへの接種予約や問い合わせによる混乱が軽減され、スムーズな接種が行われたという。高齢者の接種率は7月末時点で、希望者5万9906人に対し1回目が100%、2回目が95%となっている。

AI活用して円滑化図る

 12~64歳の市民約10万8000人を対象にした接種も同様の方式で進行。オンラインによる予約システムや、接種に関する問い合わせに24時間答えるAI搭載の「チャットボット」を導入するなど、接種へのさらなる円滑化を図った。

 7月3日からは、県がユートピアくびき希望館に設置する大規模接種センターで職域接種が始まった。使用するワクチンはモデルナ社製。当初は企業・団体単位の申請のみを受け付けたが、国からのワクチン(集団接種に用いるファイザー社製)供給の減少などを受け、対象を18歳以上の市民に拡大。同8日から予約システムで申請できるようになった。8月28日からは会場を上越総合病院に移行する。

 12~15歳は個別接種のみで対応。約6500人の接種を見込み、7月5日から開始した。同28日に2医療機関で12歳未満の子ども3人へ誤って接種を行う事案が判明。再発防止のため、それまで12歳の誕生日の前月に送付していた接種券を、9月以降生まれから12歳に達した後に送付する。

 16~22歳は集団接種対象を約7500人と想定。学生を含むことから、夏休み中の完了を目指し7月10日から開始した。同日から接種時の緊張をほぐすため、会場であめの配布を行っている。8月10日時点で5131人が1回目の接種を完了した。

7月10日、上越文化会館で16~22歳の市民1348人が接種を受けた(上越市提供写真)

供給減を受け日程の変更も

 23~64歳への集団接種は7月24日の開始を見込んでいたが、ワクチン供給減を受け日程を変更。50~64歳はファイザー社製を用い8月21日から市内3会場で、23~49歳は8月28日から、同日より大規模接種センターとなる上越総合病院でモデルナ社製を接種する。

 12~64歳を対象とした接種は8月10日時点で、全対象者の52・8%に当たる5万7319人が1回目の接種を終えている。

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