東京五輪で侍ジャパンが世界一に輝いた日(7日)、大阪市淀川区のシアターセブンで「第6回エアディナー世界大会」という奇妙なバトルが行われた。料理のないテーブルを前に、いかに感謝しておいしく食べるふりができるかを競うものだ。
2007年に地元NPO法人などが飽食日本の食品ロスに警鐘を鳴らす活動として初開催し、13年に大会関係者の高齢化もあり終了した。
お笑い芸人のコラアゲンはいごうまんが同大会を8年ぶりに復活させたのだ。
「ネットでそんな大会があったことを知りました。まるで現在の新型コロナウイルス禍やSDGs(持続可能な開発目標)を予見したかのようなエアディナーをやっていたことに心酔し、当時の大会関係者に主催の継承と協力を直談判したら、快諾いただきました」
開催にあたり一番苦労したことは出場者探しだった。公募するも応募者なし。友人知人に懇願の末、6人が参加した。
「世界一を6人で競い、授与されるメダルは金、銀、銅。2人に1人はメダリストになれる。開催前からある意味メダルラッシュが約束されました」
いざ大会が開催されたところ、役者、噺家、元力士、芸人を抑えて世界一に輝いたのは、“亡き祖母が握ったおにぎり”を涙ながらに食べたミュージシャンの浅羽由紀だった。
コラアゲンは「コロナ禍での食事は黙ってただ生きるために食べるガソリン補給みたいやけど、エアディナーにはおのおのの喜び、楽しさがあった。だからこそ食べ物を粗末にしたらあかんと思いました」と振り返る。
東京五輪期間中、大会組織委員会の弁当廃棄問題が報じられたこともあった。今こそ、エアディナーの心が必要なのかもしれない。