そうきたか……!
凄まじい緊張感と意外性で見る者を圧倒した『ドント・ブリーズ』(2016年)が帰ってきた。主役はもちろん“盲目の老人”。演じるはスティーヴン・ラングだ。
1作目同様、今回も彼の家に忍び込んだ不届き者がとてつもない“罰”を受けるのかと思いきや、『ドント・ブリーズ2』は意外なスタートを切る。老人が少女を育てているのだ。前作を見ている人間にとっては「そうきたか」という展開。
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しかも老人が少女に向ける愛情は、どこか歪なようにも見える。少女は数ヶ月おきにしか外出が許されていないようだ。学校にも行かせてもらえない。いったいこの家で何が起きているのか。少女はどんな存在なのか。
謎が宙吊りにされたまま、映画はどんどん進んで観客を振り回す。老人の家に乗り込む謎の武装集団。そのリーダーは、老人の秘密を知っているようだ。
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前作の魅力を踏襲しつつ、新たな地平に踏み込む
今回も、老人は盲目ゆえ“音”を頼りに闘う。元軍人で抜群の戦闘能力。ただし老人に襲われる恐怖ではなく、老人の孤独な闘いにポイントが置かれる。しかも少女を守りながら敵を倒さなくてはいけない。
前作の魅力を踏まえながらも、新しい見せ方になっているからまったく飽きないし、「えっ、これどうなるんだ?」が続く。意外な展開は最後まで途切れない。そしてストーリーが進むごとに映画は狂気の度を増し、壮絶なラストを迎える。その中で老人の“贖罪”も浮かび上がってくる。だか、考えてみればそれもまた異常なものかもしれないという複雑さ。
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どこまでも一筋縄ではいかない内容が、98分という上映時間でタイトに描かれる。監督は前作で共同脚本を手がけたロド・サヤゲス。今回も(前作の脚本・監督である)フェデ・アルバレスと脚本を書いている。
恐怖、残酷描写たっぷりのバトル、そして何より「うわ、こんなんありかよ!」という展開。この続編も我々の予想を裏切り、かつ期待を大きく超えてくる。
文:橋本宗洋
『ドント・ブリーズ2』は2021年8月13日(金)より全国公開