ラーメンは、いろいろな味やスタイルがあるのも魅力のひとつですよね。
なかでも豚のうま味が堪能できる、濃厚な豚骨ラーメンは人気です。
豚骨ラーメンの本場といえば、九州地方。
実は福山市内で、本場・九州の本格豚骨ラーメンが食べられる店があります。
それが福山市宝町にある「めんや 長いち」(以下、長いち)です。
しかも長いちの豚骨ラーメンは、濃さによって3種類ラインナップ。
豚骨通にはたまらない店なんです。
めんや 長いちの魅力やこだわりなどを探ってみましょう。
めんや 長いちは2023年(令和5年)2月現在、新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じて営業時間短縮・メニュー縮小などをして営業しています。
めんや 長いちは本場・九州の味が味わえる豚骨ラーメン店
長いちは、福山市中心部にあるラーメン店で、豚骨ラーメンをメインとしています。
しかも長いちの豚骨ラーメンは、本場・九州の味。
多くの人に受け入れやすいようアレンジする豚骨ラーメン店が多いなか、長いちでは本場の豚骨ラーメンの味がそのまま味わえます。
そんな長いちは2007年(平成19年)の開業以来、福山の豚骨ラーメン好きを魅了してきました。
長いちの店舗は、以前は寿司店だったそう。
そのため店内は、こぢんまりとした印象です。
なお店内は、完全禁煙です。
席は2023年(令和5年)2月時点の状況です。 新型コロナウィルス感染症の流行状況に応じ、パーティション設置や席数減少となる可能性があります。
めんや 長いちのメニュー
価格は消費税込。2023年(令和5年)2月時点の情報。
新型コロナウィルス感染症の流行状況に応じ、メニューが変更になる可能性があります。
長いちのメニューを紹介しましょう。
カウンターの上側に、たくさんのメニューが貼られていました。
看板メニューの豚骨ラーメンは、以下の3種類です。
いずれも豚骨スープです。
とんこつ⇒どとんこつ⇒ストロングの順に、スープの濃度が三段階になっているのです。
好みに合わせて、スープの濃度が選べるのはうれしいですね。
麺の固さも選べます。
もちろん、替え玉(100円)も可能!
また平日のランチ限定定食として、チャーハンセットがあります。
内容は、とんこつらーめんとチャーハンです。
そのほかに「しょうゆとんこつらーめん」(800円)や「豚そば」(800円)もあります。
「豚そば」は“豚が好き”だという通向けのメニューで、一般にはおすすめしないメニューだそう。
脂をいっさい使っておらず、純粋に豚の味わいを楽しむラーメンです。
ラーメンのほかには、ドリンクメニューなどがあります。
また長いちでは、辛いラーメンを3種類ラインナップしています。
新型コロナウィルス感染症の流行により、辛いラーメンシリーズは当面のあいだ提供を休止しています
ヘタレをのぞく辛いラーメンは、タイの青トウガラシを順に30本⇒60本⇒90本をペースト状にして入れています。
いずれも、ベースは豚骨ラーメンです。
以前は「辛いラーメン ヘタレ」という、ヘタレ向けラーメンがありました。
辛いラーメン ヘタレは、甘いスープに砂糖が山盛りになった激甘ラーメンです。
新型コロナウィルス感染症の流行により、「辛いラーメン ヘタレ」は当面のあいだ提供を休止しています
豚骨ラーメンに定番の薬味、辛子高菜漬け。
長いちの高菜は、一般的なものとは、ビジュアルも味わいも違ったものです。
けっこうピリ辛ですので、味を確かめながら少しずつ入れてみましょう。
おすすめメニューの紹介
本場・九州の豚骨ラーメンが魅力の長いち。
そんな長いちのおすすめのメニューを紹介していきます。
とんこつらーめん
基本の「とんこつらーめん」(750円)。
やや博多よりの久留米系だの味わいだそう。
豚骨らしい白濁したスープ。
適度な脂が浮いていておいしそう。
スープはサラッとした舌触りで、飲むと甘味と豚骨の味わいが広がります。
豚骨のうまみがシッカリと味わえる奥深いおいしさで、適度な脂感とまろやかな味わいで、とてもおいしいと思いました。
ほかに「どとんこつ」「ストロング」とあるので、とんこつはアッサリしているのかと思えば、決して単純にアッサリしているだけではないです。
豚骨党も納得のおいしい豚骨ラーメンだと思います。
麺は、九州系らしい極細ストレート麺です。
このチャーシューも絶品です!
赤身がメインの厚めのチャーシューで、キレイな紅桃色をしています。
味付けは薄めで、肉のうまみが楽しめました。
どとんこつらーめん
とんこつよりも濃い「どとんこつらーめん」(800円)。
とんこつよりも脂の濃度・味の濃さを高めたものだそう。
とんこつと比べてみると、スープの表情も少し違った感じがします。
見た感じ、少しとろみがあるように思いました。
実際に一口すすってみると、確かにとんこつよりもとろみがあります。
また脂感も増していました。
それと同時に「豚骨感」も増していて、濃厚な豚骨のうまみが楽しめます。
決して嫌なとろみや脂っこさではなく、なめらかで深みを増した味わいだと感じました。
くどさは、まったく感じません。
麺もとんこつと同じ極細ストレート麺。
とんこつよりも麺にスープが絡みつきやすくなっています。
チャーシューも同じものが入っています。
なお、キクラゲが入るのはとんこつだけでした。
とんこつらーめん ストロング
一番濃いという「とんこつらーめん ストロング」(800円)。
一番濃い豚骨ラーメンですが、名前もインパクトがあります。
ストロングのスープは、見るからにスープが濃いのがわかります。
とろみを感じる表情のスープです。
散りレンゲですくってみると、すくったときの感触でとろみの強さがわかりました。
とはいえ、ドロドロとした粘りのあるスープではありません。
トロッとしたやさしいとろみです。
飲むと、とろみのあるスープの独特な舌触りを感じたと同時に、甘味と豚のうまみが凝縮されたような濃い味わいがします。
好きな人にはたまりません。
麺はとんこつ・どとんこつと同じ極細ストレート麺です。
とろみのあるスープなので、麺によく絡みつきます。
替え玉を予定している場合は、スープが減りすぎないように気をつけながら食べてください。
チャーシューもとんこつ・どとんこつと同じ。
ストロングのスープをしっかりつけて食べるとおいしかったです。
しょうゆとんこつラーメン
3種類の豚骨ラーメンのほかに「しょうゆとんこつらーめん」(800円)もありました。
もみ海苔が載っている点が、ほかのラーメンと違っています。
スープは、とんこつ・どとんこつ・ストロングよりも、茶色がかっています。
豚骨の風味が濃縮されたまろやかな味わいに、醤油の甘辛い味わいが加わり、豚骨ラーメンとは違った味が楽しめました。
チャーシューやネギは豚骨ラーメンと同じで、麺も同じく極細ストレート麺です。
九州の本場の豚骨ラーメンが味わえる、めんや 長いち。
店主の小田育男(おだ いくお)さんに話を聞きました。
めんや 長いちの店主・小田 育男さんにインタビュー
九州の本場の豚骨ラーメンが味わえる、めんや 長いち。
店主の小田育男(おだ いくお)さんに、開業の経緯や店のこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
インタビューは2021年8月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
ラーメンが嫌いだったが九州の豚骨ラーメンに魅了された
──開業の経緯を知りたい。
小田(敬称略)──
実は私、昔はラーメンを食べていなかったんです。
正確には、醤油ラーメンが好きじゃないんですよ。
私は福山出身ですが、昔の福山あたりは醤油ラーメンくらいしかなくて。
だから、自然とラーメンは食べなかったんです。
その後、大学時代を下関で過ごしたんですが、下関は九州の影響が強く、豚骨ラーメンの店が多いんです。
ですので、大学生のときに初めて豚骨ラーメンを食べました。
すると、すごくおいしくて。
以来、豚骨ラーメン、しかも九州の豚骨ラーメンが大好きになりました。
大学時代には九州各地をはじめ、いろいろ豚骨ラーメンを食べに行きましたね。
九州一周ラーメン旅もやりましたよ(笑)。
──それでラーメン店を?
小田──
いいえ。卒業後は、機械系の会社に就職しました。
その後、会社を退職して旅をしたり、いろいろなことをしたりするうちに、昔なにかしらのお店をしたかったことを思い出しました。
それでアジア風のカレーの店を考えたんですが、難しそうだったのでやめ、飲食の勉強するために外食系の店に就職することにしたんです。
就職したのは、いろいろな系統の店をフランチャイズ展開している会社でした。
独立して、最初はあえて「塩ラーメン」の店に
──そこでは、どんなことをした?
私がその会社に就職したとき、ラーメン店を新しく始めたんです。
ただ豚骨ラーメンもメニューもあったんですが、私が好きな九州系の豚骨ラーメンはできませんでした。
というのも、フランチャイズなどは多くの人に好まれる味でないとダメなんです。
本場の九州系の豚骨ラーメンは、九州以外ではなかなか受け入れられないんですよね。
だから、自分で九州系の豚骨ラーメンの店を出そうと決めました。
個人店なら、福山でも勝負できると思ったんです。
──開業したのは、いつ?
小田──
2007年(平成19年)です。
最初の半年はあえて豚骨ラーメンをせず、塩ラーメンの店として営業しました。
理由は、知らず知らずのうちに、前に働いていた店のラーメンの味をつくってしまうから。
前の店のクセをあえて消すために、豚骨ラーメンをつくりませんでした。
同時に、いろいろ豚骨ラーメンの研究をしましたね。
「九州の地場の味」にこだわる
──お店のこだわりは?
小田──
いろいろ九州の豚骨ラーメンを食べてきたので、九州のさまざまな地域のラーメンのいいところを自分なりに取り入れています。
今はとんこつ・どとんこつ・ストロングの3種類がありますが、前はとんこつ・どとんこつの2種でした。
その後、研究を重ねてストロングを追加したんです。
福山だけでなく、九州以外の各地の豚骨ラーメンの店は、どうしても九州の地場の味をそのまま出すのは難しいと思います。
多くの人に受け入れてもらえるように、アレンジをほどこしている店が多いです。
当店は、九州の地場の味をそのまま味わえるのがポイントですね。
実際に九州出身のお客様から、おいしいと言ってもらえました。
──ほかに気をつけていることは?
小田──
あとスープの濃さもポイントですね。
当店の豚骨スープは濃度が高めなので「スープの味わい」で楽しむラーメンなんです。
だから替え玉しても、スープが薄く感じにくいのが特徴。
替え玉用の醤油ダレを入れなくてもおいしいですよ。
時季によって異なる豚骨の特徴に合わせて、炊き加減を調整
──大変なことは?
小田──
豚骨を炊くときの火加減の調整は、大変ですね。
実は豚骨は、時季によって特徴が違うんですよ。
夏の暑いときは豚がやせているので、ほかの季節より豚骨を長めに炊かないと、いいダシが出ません。
逆に寒いときの豚は汗をかかないので、豚骨からダシが出やすい代わりに、臭みも出やすいんです。
季節ごとの豚の成長に合わせて、炊く時間・火加減を調整していきます。
水と豚骨だけで炊いていて、少しのことでも味に影響が出るので、とても神経を使っていますね。
これからも九州の本場の豚骨を福山で
──今後の展望を教えてほしい。
小田──
福山で食べたくても食べられない味だった九州の本格派豚骨ラーメンを、福山で食べられるようにしたい。
そんな思いで店を始めましたが、当初は、福山で九州の味の豚骨ラーメンが受け入れてもらえるか不安がありました。
しかし、しだいに福山の多くのお客さんがやってくるようになりました。
今後は福山だけでなく、岡山や広島、さらには九州のかたまで当店に食べに来て、おいしいと言ってもらえるようにしていきたいですね。
これからも質を落とさず、九州の本場の味を楽しめるようにしていきます。
あとは、新型コロナウイルス感染症の沈静化ですね。
コロナ禍が落ち着けば、以前にやっていた味噌ラーメンだとかえびそばなどのラーメンも復活させたいなと考えているところです。
長いちで味わう本場・九州の豚骨ラーメン
私は長いちに行ったとき、いつもストロングを頼んでしまいます。
売り切れのときは、どとんこつです。
ストロングもどとんこつも、単なる濃厚な豚骨というわけでなく、クセになる味わい。
豚骨ラーメンが好きなかたは、ぜひ長いちの3段階の豚骨ラーメンを味わってほしいです。
きっとクセになるはずでしょう。
めんや 長いちは2023年(令和5年)2月現在、新型コロナウィルス感染症の流行状況に応じて営業時間短縮・メニュー縮小などをして営業しています。