RSC伝統の『バサースト1000』に暗雲!? 発表済みの新日程に地域評議会などから異議申し立て

 RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで年間最大のイベントである祭典『バサースト1000』の2021年大会が、新たな日程を巡り論争の火種となっている。

 オーストラリア大陸での新型コロナウイルス(COVID-19)再拡大の影響により、8月に入りふたたびのカレンダー改訂を強いられたRSC運営組織は、恒例の日付である「10月第2週を死守したい」としてきたシリーズ伝統の1戦を、11月4~7日の週末に移すとアナウンスしていた。

 しかしその翌週に控える走行会運営団体やバサーストの地域評議会が「その日程での開催承認を与えていない」と意義を申し立て、すでに「合意済み」だとするシリーズ側と意見の食い違う事態に陥っている。

 新日程の翌周11月11~17日に開催される『チャレンジ・バザースト』という名のイベントは、世界的に名を馳せる6.2kmのマウントパノラマ・サーキットで、愛好家が自身の市販モデルや競技車両を持ち込みドライブを楽しむ、いわゆる“トラックデイ(走行会)”の大規模版となり、会期より前の2週間は「現地でのいかなるイベント開催も除外する」との条項が存在していた。

 これにRSC最大のフェスティバルである『バサースト1000』の新日程が該当し、現在スーパーカーとチャレンジ・バサーストの運営組織、そしてバサースト地域評議会の間で開催可否に関する係争状態となっている。

「これ以上の議論はない。彼らの言う日程で走ることが可能なスーパーカーやその他の車両は存在しないし、今後その決議が下ることもないだろう」と現地モータースポーツ専門サイト『speedcafe.com.』に対して語った、チャレンジ・バサースト大会責任者のグレッグ・エバンス。

「チャレンジ・バサーストは、バサースト地域評議会から契約上の義務を尊重することを求められ、我々もそれを保証している。それがすべてで、この話はこれで終わりなんだ」

 一方でスーパーカーの運営組織はステートメントを発行し、チャレンジ・バサーストへの補償を含め「新日程はすべての当事者間で合意に達した」と主張している。

ファンの動員可否、州政府ごとの行動制限措置への対応、最後まで伝統の日程を維持したかった『バサースト1000』もコロナ禍に屈する形に
シーズン中のカレンダー変更にまつわる難しさが、ネガティブな方向で露呈する形となってしまった

■地域評議会は新日程に対する合意がないことを確認

「チャレンジ・バサーストの合意は、バサースト地域評議会との間柄で保持されています。したがって、我々の日程変更に同意したことを考えると、これは彼らが解決する問題です」と、真っ向対立の内容を声明に記したRSC側。

「(2021年バサースト1000の)日程変更は、チャレンジ・バサースト主催者への支援と補償を含む幅広い議論の一部でしたが、初期に提案された10月28日から31日の週末は(当初の開催地未定から直近で会場が確定した)フィリップアイランドとの連続したスケジュールとなりました。これはチームが年間モータースポーツカレンダーで最大のイベントに向け準備をする必要があることを考慮すれば、実現可能性の低い日付でした」

「スーパーカーとしては、指定された日に双方のイベントが共存できないことを示唆する、運用上の証拠をまだ受け取っていません。我々はつねに、すべての関係者との話し合いや交渉にオープンであり続けています」

 こうしたスーパーカー側の主張に対し、バサースト地域評議会は新日程に対する合意がないことを確認し、評議会責任者であるデビッド・シャーリーは「評議会はその許可を与えていない」と発言した。

「彼らに対して助言する立場にあって、現在の我々、バサースト評議会の立場は次のとおりだ。まず、スーパーカーが別の日にイベントを実施したい場合、それはチャレンジ・バサースト(またはサーキットの他の部門の労働セクション)と競合しないか。次に、提案された日付やその他の日付について、チャレンジ・バサースト側の同意を取得することだ」

「イベントを実施し、サーキットの雇用を促進するためにすべての合理的な措置を講じる用意がある。つまり、11月4~7日の開催実現に向け評議会としても尽力はするが、スーパーカー側はつねにアドバイスされてきたとおり、チャレンジ・バサーストの承認取り付けが必要だ」

 再改訂版カレンダーでは、10月2~3日に再設定されたウィントン・スーパースプリントでシーズンは再開し、10月22~24日の新会場フィリップアイランド、そして懸案の『バサースト1000』に続き、11月19~21日のシドニー・スーパーナイト、そして12月第1週のゴールドコースト500、サーファーズ・パラダイスでのイベントが計画されている。

同時期に2022年向けGen3レンダリングを公開したTeam18の『シボレー・カマロZL1』IRWIN Racing版
同じくDEWALT Racingのスコット・パイ車。契約が残るマーク・ウインターボトムに並んで、残留交渉が進んでいる

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