奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の「世界遺産」を2週にわたり放送!

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今春、放送開始25周年を迎えた『世界遺産』(毎週日曜午後6時)。放送が開始された1996年は、広島県の原爆ドーム、厳島神社がそれぞれ日本の文化遺産として世界遺産に登録され、当時日本の世界遺産はこの2件を合わせて8件だった。今夏オンラインで開催されたユネスコの第44回世界遺産委員会拡大会合で、日本からは自然遺産として「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島県・沖縄県)、文化遺産として「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道・青森県・秋田県・岩手県)の2件が世界遺産に登録されることが決定。2019年の「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)以来2年ぶりの登録で、日本の世界遺産登録数は25件となった。

番組ではこの吉報を受け、「小笠原諸島」(東京都)の登録以来、10年ぶり5件目の日本の自然遺産となった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を特集。8月22日(日)、29日(日)の2週にわたってお届けする。

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」がある琉球列島は日本列島の南西、約1000kmにわたって連なる多数の島々で形成されている。今回、自然遺産として登録された4島の大きな特徴は、海底の火山活動や海底の隆起によって生まれた島ではなく、太古の地殻変動によってユーラシア大陸から分離して出来た島であること。そのため大陸では滅んでしまった生物も生き残っており、それぞれの島々の環境が長い年月の中で独自の植生、動物相を多数育んできた。

4島は、奄美大島、徳之島に生息するアマミノクロウサギ、沖縄島北部のやんばるの森に生息するヤンバルクイナ、西表島に生息するイリオモテヤマネコなど、絶滅が危惧されている貴重な生きものたちの生育地であり、今後もこれら多くの希少種の生物多様性を保全するうえで、世界遺産への登録は重要な意味を持つのだ。

日本政府はユネスコへ自然遺産候補として4島を推薦したが、2018年の世界遺産委員会(新しい世界遺産を決めるため、ユネスコが毎年開催する国際会議)では登録区域などの見直しを理由に登録延期勧告を受け、昨年の世界遺産委員会はコロナ禍で延期。今年7月の世界遺産委員会で、ようやく3年越しの世界遺産登録を果たした。

番組ではJNNネットワーク局で、世界遺産に登録された4つの島の地元局である沖縄県の琉球放送(RBC)、鹿児島県の南日本放送(MBC)の協力のもと、昨年から取材を開始。地元を熟知したRBC、MBCのディレクターが1年以上かけて丹念に撮影した4つの島の独特、かつ壮大な自然をお届けする。22日は「西表島と沖縄島北部」編、29日には「奄美大島と徳之島」編を放送。それぞれの島が形成する大自然の美しい映像をお見逃しなく!

■放送内容/みどころ

8月22日放送:奄美・沖縄Ⅰ~西表島と沖縄島北部~

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◎日本最後の秘境! 西表島

東京23区の半分ほどの広さで、そのほぼ全域が世界遺産になった沖縄県の西表島。日本最大のマングローブの林、島の多くを占める山岳部には亜熱帯性のジャングル、その中に多くの川が流れ、落差55メートルを誇る沖縄県で最大の滝・ピナイサーラの滝が流れ落ちる・・・。まさに日本最後の秘境と呼ばれるにふさわしい壮大な景観が最初の見どころだ。海から山岳部まで、空から丹念に撮影した映像でその秘境ぶりを伝える。

さらにこの島に100頭ほどしかいない絶滅危惧種に指定されているイリオモテヤマネコ、西表島とその周辺にしか生息していないヤエヤマカジカガエルやヤエヤマセマルハコガメなど、ここにしかいない貴重な生きものたちも見もの。こうした独特の生きものがいる理由として、太古の地殻変動によってユーラシア大陸から琉球列島が分離し、のちに大陸では滅んだ生きものも琉球列島には生き残っていることや、独自に進化したことも解説する。

◎世界でここだけの鳥ヤンバルクイナ! 沖縄島北部

沖縄島で世界遺産になったのは北部の「やんばる」と呼ばれる地域の森。沖縄島は西表島よりも古い時代、600万年以上前に大陸から分離した島で、やんばるの森は“ここだけの生きもの”の宝庫。日本で唯一の飛べない鳥・ヤンバルクイナもこの森に生息している。ヤンバルクイナは大陸から分離した島に天敵となる肉食の哺乳類がいなかったため、飛ぶ必要がなくなったといわれている。ただしハブはいるので、夜は木登りして木の上で寝るという独特の生態が見どころ。他にもこの森だけでしか見ることが出来ない、貴重な生きものたちのさまざまな映像をお届けする。

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<琉球放送(RBC)担当ディレクター:伊良波美海子コメント>

沖縄島北部と西表島、それぞれの森に初めて足を踏み入れた時の興奮を今も覚えています。取材ですが、まるで冒険が始まるような感覚で胸が高鳴りました。実際、森で出会ったのは個性豊かでユニークな生き物たち。ふわふわの白い毛とくりっとした瞳がかわいらしいカンムリワシの子どもや、子犬ほどの大きさもあるケナガネズミなど、その1つ1つが世界でここにしかいない貴重な存在です。太陽の光を浴びて輝くマングローブ、早朝のひと時、散りゆく花が生み出す幻想的な光景など自然景観を織り交ぜながら、視聴者の皆さんがまだ知らない沖縄を“冒険”してもらえるよう、制作にあたりました。

8月29日放送:奄美・沖縄Ⅱ~奄美大島と徳之島~

◎生きた化石・アマミノクロウサギ! 奄美大島

鹿児島県の奄美大島は、水の島。暖流の黒潮が近くを流れるため、海水が温められ湿った風となって島の山岳部にぶつかり、大量の雨を降らせる。その豊富な雨が生んだ森が世界遺産に登録された。このような亜熱帯雨林の森は世界的にも珍しく、ここに暮らすのが、奄美大島と徳之島にしかいないアマミノクロウサギだ。普通のウサギと比べ、耳が短く、色が黒いアマミノクロウサギは、大陸と琉球列島が分離する前から生息していたウサギで、太古の姿をとどめているため「生きた化石」と呼ばれている。子ども専用の巣穴を作って土でフタをし、授乳の度にやってきてフタを掘って外し、終わるとまたフタをするなど、不思議な生態が見どころ。また、奄美大島にしかいない「日本一美しいカエル」と呼ばれるアマミイシカワガエルなど、ここだけの固有種も見ものだ。

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◎海面上昇から固有種を守った山! 徳之島

鹿児島県の徳之島は、島の周縁部が奇岩地帯となっている。石灰岩が波風・雨水などによって浸食されて出来たキノコ形の巨岩など、変わった景観がまずは見どころ。地底には日本最大級の水中鍾乳洞もあり、番組では水中撮影も敢行。なかなか見ることができないその様子をお届けする。鍾乳洞も石灰岩の地質で生まれるが、この鍾乳洞はかつて地上で形成されたものが海面の上昇によって水没したもの。こうした海面が上昇した時期に、生きものたちが逃げ込んで生き延びたのが島の山。その山岳部の森が世界遺産に登録された。この森も徳之島固有の生きものの宝庫。徳之島だけにしか生息しない植物のトクノシマカンアオイ、高く飛ぶ不思議なネズミ・トクノシマトゲネズミなど、貴重な生きものの生態もお届けする。

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<南日本放送(MBC)担当ディレクター:北原由美コメント>

2018年の登録延期から3年越しに実現した世界遺産登録。

ふるさとの自然の価値が世界に認められたということで、地元も大変喜んでいます。

私たちも今回の撮影で、同じ日本でありながら本州や九州とは違う植生や特異な生態系、ダイナミックな景観など、改めてその懐の深さに気づかされました。日本の南の小さな島々の魅力を多くの方に届けたいという思いで、撮影しました。

<プロデューサー・堤 慶太コメント>

世界遺産にはいろいろな島があるのですが、大体が海底の火山活動で生まれたものか、海底が隆起してできあがったものです。しかし、今回の「奄美・沖縄」の島々がユニークなのは「元々はユーラシア大陸と地続きだったものが、分離して島になった」という点にあります。イリオモテヤマネコも地続きだった時代に島にやってきた種ですし、「生きた化石」といわれるアマミノクロウサギも地続きだった頃の生き残りです。大陸など他の地域ではいなくなってしまった生きものも、まるで「ノアの方舟」のようにこの島々には生きています。何万年もかけて地球が変化し、島という閉ざされた環境の中で生き残り独自に進化した生きものたちの姿。悠久の時の流れを感じることが出来る世界遺産です。ご期待ください。

■番組概要

[タイトル]『世界遺産』

[放送日時]毎週日曜 午後6時~6時30分

[出  演]ナレーション 杏

[『世界遺産』番組公式サイト]

[『世界遺産』公式YouTubeチャンネル]

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