【新型コロナ】WHOが声明「起源解明のために生データを提供せよ」暗に中国を批判か

 世界保健機関(WHO)は12日、声明を発表し、新型コロナウイルスの流行起源を解明する調査を前に進めるため、各国に流行初期段階からの症例の生データを提供するよう求める声明を出した。名指しはしていないが、声明の中では中国以外の先進国のいくつかが積極的に協力していることに言及しており、間接的に中国の非協力的な姿勢を批判したとみられる。

「政治問題化されていることが示唆される」

 WHOが今回出した声明ではまず、2021年3月に出された、中国の現地調査を含んで報告された起源に関する一次報告について触れ、そこで出された仮説を証明するためにはデータが不十分だと指摘。研究を進めるためには、2019年の初期の症例と、血液検査の生データが必要だと訴えた。

 この要請のなかでは具体的に名指しはされていないが、これまで多くの国から協力を得られていること、イタリアに関しては同国の生データをイタリア国外で解析することを許可してくれたことなどを述べたあと「中国を含むすべての国が支援してくれることを期待したい」と明記。

 さらに各国のこれまでの報告では「起源研究が政治問題化され、WHOが政治的圧力の影響下にあったことを示唆している」と自ら述べ、その後改めて「中国を含む全ての国で、研究の安全性および手順が改善されることが重要だ」と強調。声明の中で繰り返し「中国を含むすべての国」という表現を用いており、暗に、非協力的な中国を批判したものとみられる。

© 合同会社ソシオタンク