ニューヨーク仕事人名鑑 #23 山本竜也さん

困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。

※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。


今やニューヨーク名物となった日系ストリートイベント「ジャパンフェス」や異文化交流日本人コミュニティー「J KURU NY」など数々を取り仕切ってきた、「Jフォワード」代表の山本竜也さん。「ドラゴン」の愛称で、2011年の来米当初からニューヨークの若き日本人コミュニティーを盛り上げ続けてきた存在だ。 来米したのは、「まずは世界に出ないと自分の人生、日本の未来はない」という内なる熱い思いからだったそう。「もともとは世界一周しようと思っていて、ニューヨークは1年くらいで出るつもりでした。それがいろいろな出会いや縁あって今や11年目になりましたね」と山本さん。 コロナを機に次のフェーズに 5年半の不動産業を経て、16年に設立した「Jフォワード」では飲食業、イベント業、留学エージェント業を手掛けてきたが、昨年のコロナ禍では大きな転機を迎えた。 「フェスが開催できない状況になったことで、あえてニューヨークやリアルにこだわる必要はないなと。全米の人をターゲットにしたら、より多くの人に日本食を届けられますよね」。そこで新事業としてEコマースを開始、日本食ミールキットを販売する「うまみスクエア」とミートレスラーメンに特化した「ラーメンキングス」の全米向けプラットフォームを立ち上げた。販路をオンラインにすることでマーケットも認知度も格段に広がると、逆境を逆手に取った一手だ。 「ただ、ニューヨークと違って全米となるとどんな人が利用してくれているか想像がつかない。お客さんの顔が見えないのは難しい点です」。そこでリサーチも兼ね、10月には全米大陸縦横断にも乗り出す計画だという。 さらに、このコロナ期間は自身の思考にも大きな変化をもたらした。「ビジネスを拡大していかないことには影響力が持てない。やりたいことを実現していくためにはまず資本が必要だと。今は会社の上場を目指しています」。 ビジネス戦略を一から練り直し、ここ1年は新聞などメディアのインプットを全て英語媒体に制限した。アメリカ人をターゲットにするため徹底的に経済や上場企業についても学びながら、世界に目を向け始めている。 さらに飲食事業でも全米展開を見据え、現在ブルックリンで展開するラーメン屋「麺屋二郎」をボストンに3店舗オープンするなど、まさに次のフェーズへまい進中だ。 “かっこいい”日本人を再び世界へ 「今までは“面白いこと”重視でした。でももっと大きなことをしていかなければと考えが変わりましたね」。8月29日に2年ぶりに復活する「ジャパンフェス」も今年は後継者に一任し、自身はさらなる高みを目指し会社を舵取りしていく。 山本さんの見つめる先は世界だ。「歴史を振り返ってみても日本人ってもともとすごくかっこよかった。その気概を日本人が取り戻すためにも、もっと力を付けて突っ走っていくことが僕の使命だと思っています」。 私生活では、この3年間毎日走ることを続けているそう。その原動力を聞くと、「どんな時でもやめないことが大事。10年を目標にしているので3年はただの通過点なんです」。そう語る山本さんが未来に描く青写真は、これからも世界をキャンバスにまだまだ広がり続けていくだろう。

山本竜也さん 「Jforward」代表

来米年: 2011年 出身地: 岡山県 好きなもの・こと: 面白いこと 特技: 走ること

岡山県出身。 同志社大学を卒業後、日本でコンサルティング会社を経て、2011年1月1日よりニューヨーク在住。 13年に「海外挑戦者の溜まり場」、14年に「J-KURU NY」立ち上げ。 16年に「Jforward」を設立し、イベント事業、留学事業、Eコマース事業、飲食事業を展開中。 j-fo.com

© Trend Pot NY,LLC