「積み重ねが勝ちに繋がる」 鷹・柳田悠岐が東京五輪で再認識した“大事なこと”

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

「明日からどうしようと…」工藤監督も肝を冷やした自打球直後に2ラン

■ソフトバンク 3ー0 日本ハム(13日・PayPayドーム)

13日に再開されたプロ野球のペナントレース。4位から2年連続のリーグ優勝を狙うソフトバンクは本拠地PayPayドームで日本ハムに3-0で快勝した。チームを勝利に導く一打を放ったのは、侍ジャパンとして東京五輪で金メダルを獲得した主砲の柳田悠岐外野手だった。

初回1死一塁で迎えた第1打席。1ボール1ストライクからの3球目は右膝に直撃する自打球となった。呻き声とともにその場に倒れ込んだ柳田。自力で歩くことができず、駆けつけた平石コーチと本多コーチに肩を担がれて、そのままベンチ裏へと下がった。主砲のまさかの事態にスタンドは静まり返った。「最悪のことも頭をよぎりました。明日からどうしようと」と、工藤公康監督も肝を冷やした。

だが、治療を終えた柳田は笑顔すらも浮かべて再び打席へ。そのままプレーを続行すると、5球目を捉えた打球は左翼ホームランテラスへと消えた。自打球でのもん絶もなんのその。驚異の一発は23号2ランとなり、結果的にこれが決勝弾に。試合後、柳田は「最初は力が入らなかったんで、ちょっとヤバいなと。時間が経って力が入ったのでいけるかなという感じでした。チームに貢献できたのが1番です」と振り返った。

柳田が五輪で再認識した「1球1球の重み」

金メダルに輝いた東京五輪の決勝からわずか6日。束の間の休息を終えて11日から練習を再開させた柳田には、五輪での戦いを経て、改めて再確認させられた「大事なこと」があったという。

「1球1球の重みをさらに感じるようになりました。シーズンは長いんで、なかなか難しいんですけど、1試合1試合というのは、1球1球を大事にやらないといけないなと思いましたし、そういう積み重ねが長いペナントレースで勝てることに繋がると思います。また考えさせられました」

金メダルを目指して戦った東京五輪。1球でさえも気の抜けない緊張感、プレッシャーの中で気持ちをすり減らしながら、5試合を戦い抜き、5連勝を飾った。金メダルに輝いた達成感、疲労感を感じるとともに、試合を戦う上で大切なことを再認識したという。

この日は甲斐拓也捕手、栗原陵矢捕手の2人にもきっちり安打を放ち、五輪での“燃え尽き”などの心配は無用な様子の侍ジャパントリオ。「疲れてはいますけど、試合が始まると一戦一戦勝っていかないといけないので、気持ちが入ります」と語る柳田の視線は、きっちりとシーズンでの戦いに向いている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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