長崎・雲仙 土砂崩れ1人死亡 2人不明、1人重傷 民家2棟全壊

土砂にのまれた家屋で安否不明者を捜索する消防署員ら=13日午前9時19分、雲仙市小浜町

 長崎県雲仙市小浜町雲仙で13日、民家2棟が押し流され全壊する土砂災害が発生した。住民4人が巻き込まれたとみられ、女性(59)が心肺停止の状態で見つかり、死亡が確認された。女性の夫(67)と、長女(32)が安否不明。もう1棟の民家からは男性(64)が救助された。男性は左脚を骨折する重傷。活発な前線の影響で、雲仙岳では11日からの総降水量が8月1カ月間の平年値の2倍を上回る記録的な大雨となっていた。

 県央地域広域市町村圏組合消防本部や雲仙市、雲仙署などによると、13日午前4時10分ごろ、同市小浜町雲仙の「雲仙温泉 青雲荘」従業員から「土砂崩れが発生し、土砂が入ってきている」と119番通報があった。北側の斜面が幅50メートル程度にわたって崩れ、扇状に広がりながら民家2棟を押し流した。土砂が流れ込んだ範囲は長さ、幅ともに約160メートルに及んだ。
 現場は温泉地として知られる「小地獄」地区で、点在する民家に115世帯186人が暮らす。被災した民家があった付近は、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域で、災害発生時、市内には土砂災害警戒情報が出されていた。
 警察や消防、消防団合わせて約100人態勢で安否不明者の捜索に当たったが、二次災害の恐れがあるため午後5時前に打ち切った。市は13日、県を通じて自衛隊に災害派遣を要請。14日午前7時半から自衛隊員を含め約170人態勢で捜索を再開する。
 金澤秀三郎市長は「被災者にお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方の冥福をお祈りする。人命救助に全力を挙げて対応していく」と談話を出した。
 長崎地方気象台によると、雲仙岳では11日午前3時の降り始めから13日午後4時までの降水量が796ミリを観測。8月1カ月間の平年値314.4ミリの2倍超の記録的な大雨となっている。13日午前0時2分までの1時間には80.5ミリの猛烈な雨が降った。


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