未経験のイープル・ラリー、前戦優勝ロバンペラがトヨタ勢最上位の4番手/WRC第8戦

 WRC世界ラリー選手権第8戦ベルギーが8月13日に開幕した。TOYOTA GAZOO Racing WRTは初日のラリーを終え、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4番手につけた。チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)は同5番手、セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合6番手となっている。

 1965年の初開催以来、長い歴史と伝統を誇るイープル・ラリーが世界選手権イベントに昇格。新型コロナウイルスの影響を受けた2020年大会の中止を経て今年、1年後しでベルギー初のWRC開催が実現した。

 西部の都市イープルにラリーの拠点“サービスパーク”を置き、主にアスファルトで覆われた農道を舞台に争われる大会の競技初日“デイ1”は、4本のステージを各2回走行するスケジュールが組まれていた。しかし、1日の最後に予定されていたSS8が安全上の理由からキャンセルされ、13日(金)はSS1~7の計125.89kmで争われることになった。

 このイープル・ラリーでの経験がないトヨタ勢は、序盤からライバルのヒュンダイ勢を遅れをとる展開に。そんななか、エバンスは午前中に3ステージ連続で3番手タイムをマークし、午前のループを終えた時点で総合3番手につけるライバルと0.8秒差の4番手につけていた。

 しかし、日中のサービスを挟んで行われた午後のループではロバンペラがペースを上げ、SS7でエバンスを逆転。ライバルのオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)とわずか1.4秒差の総合4番手となっている。

 なお、チームメイトに逆転を許したエバンスもロバンペラから0.8秒差で僅差の5番手につけている他、SS7でステージ2番手タイムを記録したオジエはエバンスの6秒遅れとなっており、トヨタはいずれのドライバーも表彰台を狙える位置につけている。

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムからシリーズに全戦参戦中の勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、第7戦エストニアで負傷したダニエル・バリットに代わってコンビを組むキートン・ウイリアムズとともにラリーに臨み、オジエに次ぐ総合7番手でラリー初日を終えた。

「簡単ではないスタートだった」とエバンス。彼は「グリップレベルが頻繁に変化し、さまざまな路面が混じり合っていたので、自信を持って走ることができなかった」と語った。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー

■ラトバラ代表「経験ばかりは買うことはできない」

 トヨタ勢最上位の4番手につけたロバンペラは、「チームメイトと僅差のいい戦いができているが、明日の表彰台争いはかなり大変になると思う」とコメント。

 ドライバー選手権首位のオジエは、「明日に向けては、さらなる改善のためのアイデアがいくつかある。表彰台を獲得するために集中して取り組む必要があるね」と述べている。

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、もう少し上位で戦いたかったと語った。

「私たちにとって最高の1日ではなかったが、最悪の1日でもなかった。もう少し上位で戦いたかったので少し残念ではあるが、このラリーで経験のある選手たちと戦うのは難しいことだと分かっていた」とチームボス。

「残念ながら、経験ばかりは買うことはできない。それでも、3人のドライバー全員が表彰台にとても近い位置につけているので、明日はプレッシャーをかけていけると思う」

「今日は最初のループステージで改善点を見つけ、自信を深めたので、このいいリズムを保ったまま明日の戦いに臨みたいと思う」

 その競技2日目、SS9~16が行われるデイ2は、サービスパークの南側に設定された4つのステージを各2回走行する予定が組まれている。この内、オープニングのSS9と再走ステージのSS13“ホレベーケ”は、今大会最長となる全長25.86kmのロングステージだ。8本のSSの合計距離は119.92km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は310.37kmとなっている。

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー

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