【宮永篤史の駄菓子屋探訪7】北海道利尻郡利尻町「駄菓子屋まるちゃん」2021年にオープンした日本最北の駄菓子屋

全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道利尻郡利尻町の「駄菓子屋まるちゃん」です。

2021年5月、利尻島にオープン

良質な昆布の産地として知られる北海道・利尻島に、2021年5月、駄菓子屋がオープンしたと聞き、早速行ってきました。稚内市内にあった駄菓子屋が2020年に閉店してしまっていたので、日本最北の駄菓子屋の誕生です!

新千歳空港から稚内市まで350kmほど。そこからフェリーに1時間40分乗って利尻島の鴛泊港へ行き、お店のある沓形富士見町へは港からさらに15kmほどあるので、駄菓子屋を訪ねる旅としては、これまでで最も時間がかかりました。

新しいけれど昔ながらの趣

路地のつきあたりで、海辺に佇む「駄菓子屋まるちゃん」。オープンしたてとは思えない、昔ながら感が漂う外観です。すぐそばに超有名ラーメン店があり、その近隣で聞き込みをして正確な場所がわかりました。着いたのはまだ開店前。外のベンチに腰掛けてお店が開くのを待っていると、利尻富士(利尻山)が見え、波の音や海鳥の鳴き声が心地よく届いてきます。

店内は5畳ほどの細長い造り。入って右手側の棚に駄菓子、左側の棚にはたくさんの駄玩具が並んでいて、正面の棚には昭和レトロアイテムが陳列されていました。隣の建物は遊び道具が置かれた多目的スペース。10円ゲームの「サーカス」が置かれており、お店と同様に、これが日本最北の10円ゲームということになりそうです。

50年以上駄菓子屋がなかった島に居場所を

運営しているのは伊藤さんご夫妻で、この日は主に旦那さんにお話を伺いました。奥さんがすべての店頭業務を、旦那さんが工作や店内外の修繕を行って後方支援しているとのこと。コロナ禍で子どもたちの居場所がなくなってしまっていたこと、そして島には50年以上駄菓子屋が存在していなかったことから、「駄菓子屋があれば多くの人を喜ばせることができるのではないか」と考え、立ち上げたそうです。

「利尻島のカラーに馴染むようなものにしたいと、倉庫だった場所を自分たちで手直しして作りました。田舎なので、真新しくてビカビカしてると浮いちゃうんですよ(笑)。だから、これくらいがちょうどいいと思います。駄菓子屋ですが、お金を持っていなくても気軽に遊びに来られる場所にしたいんです。ものを売るよりも、居場所づくりということですね。まだ始まって間もない店なので、これからどんどん進化させていきたいと思います」

最高の天然水ジュースが飲める!

滞在している間、常に満員状態だった駄菓子屋まるちゃん。店主ご夫妻の思いは短い期間でもしっかり伝わり、すでに大人気のお店となっていました。観光客の姿もあり、利尻島の子どもたちの居場所としてだけでなく、観光スポットとしても注目されていきそうです。

余談ですが、利尻島ならではの駄菓子屋グルメを見つけました。島には利尻山からの湧き水を汲める場所があるので、駄菓子屋まるちゃんで粉末ジュースを買い、夏でも触っていられないほど冷たい湧水を入れて作れば、最高の天然水ジュースの完成です!ぜひお試しあれ。

駄菓子屋まるちゃん

住所:北海道利尻郡利尻町沓形富士見町76

電話:090-9752-8650

営業時間:13:00〜18:30

金・土・日曜日のみ営業 昆布漁がある日は臨時休業

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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