【高校野球】3日順延でお互い丸裸に…「名将対決」のキーマンはグラウンド上の“監督”

第103回全国高校野球選手権は、悪天候のため14日に予定されていた4試合が15日に延期になった

3日連続の順延は46年ぶり、百戦錬磨の名将たちも初体験

阪神甲子園球場で行われている第103回全国高校野球選手権は、悪天候のため14日に予定されていた4試合が15日に延期になった。3日連続の延期は、1975年以来46年ぶりという珍事だ。第2試合で対戦予定だった明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督、県岐阜商(岐阜)の鍛治舎巧監督という実績十分の指揮官にとってもさすがに初の体験。時間ができたことでお互いの研究はすでに完了しており、作戦を完遂できるかはグラウンド上の“監督”となる捕手にかかってきそうだ。

両校は14日午前8時半から、甲子園球場の室内練習場で2時間弱のトレーニングを行った。鍛治舎監督は県岐阜商ナインに「昨夏の交流試合や、選抜をほとんどの選手が経験している。選抜に続いて3回戦を戦うんだ、のびのびやろうぜ」と話しているとし、中止についても「貴重な経験。3日続けて甲子園の雨天練習場を貸してもらうことはもうないでしょう」と前向きに受け止める。練習の最後には、皆でお礼の挨拶をしたという。

時間ができたことで、相手校の研究はさらに進んだ。県岐阜商は明徳義塾の県大会4試合、さらに選抜の仙台育英戦の画像も見て準備している。勝負のポイントを問われると「これはやってみないと分からない。展開を見ながら、融通無碍に対応していきますよ」と余裕綽々だ。

相手研究の時間が生まれているのは明徳義塾も同じ。順延について「こればかりはしょうがない」とした馬淵監督は「来る前からある程度の情報は得ている。選抜よりも夏の県大会のビデオの方がいいですね。ある程度信頼できるかなと」と、事前の情報戦には自信満々だ。「お互いに何試合もビデオを見たら、ある程度の長所や短所はわかりますよ。そこで短所を突くのか、投手の長所を引き出したらいいのか判断するのは捕手。だから捕手の差がでるかもわかりませんね」と、加藤愛己捕手(3年)をキーマンに指名した。

加藤も、県岐阜商の高木翔斗捕手(3年)も主に「4番・捕手」で出場するまさにチームの要。加藤は県岐阜商打線の印象を「すごい振ってくるので」としたうえで、自分の役割を「チームを勝たせるために何をできるか」と明確にしている。

馬淵監督は歴代4位の甲子園通算51勝を挙げている。一方のの鍛治舎監督は中学から社会人まで豊富な指導経験を持ち、秀岳館(熊本)の監督時代には2016年春から3季連続で甲子園4強入りを果たした。「名将」同士の初対決として注目されるこの一戦の行方は、グラウンド上の“監督”と言われる捕手が握っていそうだ。(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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