後半戦巻き返しへ鷹に見えた光明 工藤監督にとって「予想以上」だったことは?

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

13日は石川柊太が、14日は東浜巨が終盤まで無失点に封じる好投

■ソフトバンク 2ー0 日本ハム(14日・PayPayドーム)

ソフトバンクは14日、本拠地PayPayドームでの日本ハム戦に2-0で勝利し、リーグ戦再開後2連勝を飾った。先発の東浜巨投手が自身キャリア最多の11三振を奪い、8回2安打無失点と好投。投手陣が日本ハム打線を2試合18イニングでわずか4安打、27奪三振に封じ込めてカード勝ち越しと、理想的な後半戦スタートを決めた。

東浜は初回、先頭の浅間に中前安打、2死一塁から近藤に左翼コカ・コーラシートに飛び込む二塁打を許し、2死二、三塁のピンチを招くも、渡邉を見逃し三振。立ち上がりの窮地を脱すると、2回以降は危なげなし。8回までノーヒットピッチング、許した走者も失策による1人だけと、ほぼ完璧に抑え込んだ。

打線は4回に先頭の柳田が左中間を破る二塁打で出塁すると、デスパイネの適時打で先制。7回には先頭の中村晃が内野安打で出塁し、今宮が適時二塁打。少ないチャンスで2点を奪うと、最後までリードを投手陣が守った。東浜は8回で降板となり完封こそ逃したものの、最後の9回はクローザーの岩嵜が締めて勝利。2試合連続の完封勝ちで後半戦最初のカードの勝ち越しを決めた。

ソフトバンク・東浜巨【写真:藤浦一都】

工藤監督も絶賛「予想以上に先発投手が長いイニングを投げてくれた」

試合後、工藤公康監督は「悪いボールがなかったというくらい全てのボールが良かったんじゃないかな。甲斐くんのリードも光った試合」と好投した東浜を絶賛。そして「予想以上に先発投手が長いイニングを投げてくれたことで、リリーフの負担も少ないですし、また明日しっかり戦える」と2連勝を飾ったこの2試合に確かな手応えを感じた様子だった。

37勝37敗14分けの勝率5割、4位で前半戦を折り返したソフトバンク。2年連続のリーグ優勝に向けて楽観視できない状況で、この後半戦を迎えた。4ゲーム差にいる首位オリックスを追いかけるためには負けられない試合が続く。その中で、この2連勝は結果、そして内容ともに光を感じるものとなった。

何よりも初戦の石川柊太投手、この日の東浜巨投手と2人の先発投手がほぼ完封ペースと言っていい好投を見せた。開幕投手を務めた石川は前半戦17試合で4勝止まり。好投しながらも勝ちに恵まれない投球が続いた。出遅れた東浜は7試合で2勝2敗。投球内容は本調子とは言えなかった。五輪による中断期間で2人は自らを見つめ直して修正し、再開後初の試合でしっかりと成果として現れた。

ソフトバンク“らしい”守り勝つ野球で2連勝を飾った後半戦

工藤監督はこの3連戦、先発投手には飛ばすだけ飛ばしてもらって、中盤以降はリリーフ陣で凌いでいくという青写真を描いていた。だが、蓋を開けてみれば、石川は8回途中無失点、東浜も8回無失点。指揮官も「理想以上の、予定では5、6回まで飛ばしてもらって、あとはリリーフでと思っていたんですけどね」と“嬉しい誤算”に笑みが溢れた。

ソフトバンクのここ数年の戦い方は“守り勝つ野球”だ。投手陣ができる限り失点を防ぎ、少ない得点でも勝ち切っていく。前半戦は先発投手陣のやり繰りに苦労したところは否めなかったものの、この2試合は“らしい”戦いができたと言えるのではないだろうか。

セットアッパーのモイネロが離脱し、15日に先発予定だった和田が左肩のコンディション不良で登板回避。なかなか戦力が揃わず不安要素は消えないものの、石川と東浜の復調は大きなプラス要素だ。来週には東京五輪にも出場したエースの千賀も復帰する。五輪の中断期間が明けたペナントレース。王者ソフトバンクは上々のリスタートを切った。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2