「ミハエル・シューマッハーは今も闘っている」とFIA会長トッド。コリーナ夫人の献身を称賛

 FIA会長のジャン・トッドは、8年前にスキー中の事故で頭部に大けがを負った7度のF1世界チャンピオン、ミハエル・シューマッハーは、コリーナ夫人に支えられながら、今も闘っていると語った。

 シューマッハーは、メルセデスに所属していた2012年末、F1引退を決め、その1年後の2013年12月末、フレンチアルプスで休暇中に当時10代だった息子のミックとスキーをしている際に転倒し、頭部を強打した。

 家族は、現在52歳のシューマッハーについて、健康状態の詳細情報は開示しないと決めているが、彼が世界タイトルを5度獲得したフェラーリで当時チーム代表を務めていたトッドは、シューマッハー家とのつき合いも深く、今もスイスの自宅を頻繁に訪問している。

「ミハエルがスキー中の大きな事故に遭って以降、私はコリーナと長い時間を過ごしてきた」と、トッドはドイツの『Sport Bild』紙の取材に応じて語った。「彼女は素晴らしい女性だ。一家を切り盛りしている」

「彼女は予想もしていなかった出来事に直面した。突然起こった事故で、彼女には選択の余地がなかった。それなのに彼女はとてもうまくやっている」とトッド。「私は彼女を信頼しているし、彼女も私を信頼してくれている」

2001年F1ハンガリーGP ジャン・トッド(フェラーリ チーム代表)、ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)&コリーナ・シューマッハー

「医療チームの努力と、彼に生き続けてほしいと願うコリーナの献身があって、彼はいまも生き続けている」

「しかし、事故の影響は残っている。たった今も彼はその影響と闘っているのだ。我々は状況がゆっくりとであっても着実に改善してほしいと願っている」

 家族は2019年にミハエルが50歳の誕生日を迎えた時に声明を発表した。彼らは「彼を助けるために人間の力で可能なことはすべて行っている」と述べるとともに、ファンに感謝し、今後もプライバシーを守り続けることへの理解を求めた。

■「息子のミックも私にとって特別な存在」とトッド

 トッドは、シューマッハー家との長年にわたるつき合いから、息子のミックとも特別な絆で結ばれていると述べている。ミックは今年ハースと契約、F1ドライバーになっている。

「私と妻ミシェル・ヨーにとって、ミックは昔から特別な存在だ。シューマッハー家の人たちは、我々にとって本当に特別なのだ」とトッドは言う。

「私は(フェラーリで)ミハエルとともに素晴らしい物語を紡ぎ、素晴らしい関係を築いた。そこには彼の子どもたちもいた」

「ミハエルとミックには同じ血が流れており、目標も同じだ。しかし環境はまったく異なっている」
「ミハエルは、愛する家族がいる自宅で充電し、自らの任務に求められる強靭さを得ていた」

 Netflixは先月、ミハエル・シューマッハーの私生活とキャリアを描いたドキュメンタリー映画を9月に公開することを発表した。その映画には、コリーナとミックのほか、娘のジーナ・マリアや、やはりF1ドライバーだった弟ラルフのインタビューも収められている。

ミック・シューマッハー(ハースF1)が父ミハエルのジョーダン191でデモラン

「そう、僕も映画に出ているんだ。インタビューを受けた」と、ミックは『FormulaRapida.net』に語った。
「本当に特別なドキュメンタリーになっているよ。視聴した人は感情を揺さぶられると思う」

“彼の家族から支持を受けた唯一の映画”とうたわれているこの作品には、事故後の健康状態に関する新たな詳細情報は含まれていないものと思われる。

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