ロシアが国家を挙げて東京五輪の〝米国陰謀論〟を主張「金メダル奪われた」

銀メダルを手にするジーナ・アベリナ(ロイター)

東京五輪を巡ってロシアが国家を挙げて米国による〝陰謀論〟を主張した。

オーストラリアメディア「ヤフースポーツオーストラリア」は「ロシアの当局者が、米国や他の主要国が東京五輪を不正に操作したと異常な主張を展開した」と報道。ロシアはドーピング問題により今大会にはロシアオリンピック委員会(ROC)として出場していたが、メダル総数が1912年ストックホルム五輪以来の低水準に終わり、米国とその友好国による〝ロシア潰し〟が原因だと訴えている。

米メディア「デーリービースト」を引用する形で、ロシア側の数々の主張を紹介。アレクセイ・ジュラブリョフ議員は、東京五輪を「米国が率いる反ロシアの獣の群れだ」、国営テレビの司会者であるオルガ・スカビーバ氏は「反ロシア全体の最も明確な例で、五輪は悪臭を放つ。グローバルスポーツは公平な競争ではなくなり、安価な政治的茶番劇になった」と猛烈な批判を展開した。

特にロシアで議論の的になっているのが、新体操の個人総合だ。この競技ではロシア選手が2000年シドニー五輪から5連覇中だったが、今回はイスラエルのリノイ・アシュラムが金メダル、ROCのジーナ・アベリナが銀メダルだった。「アベリナがアシュラムに金メダルを奪われた。ROCは、アシュラムが演技の最後にリボンを落としたため、この決定に抗議した」とロシア側は主張しており、同国新体操連盟のイリナビネル・ウスマノワ会長は「この結果は事前に計画されていた」と主張した。

さらにこの問題に政府も介入。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が「全世界の前で〝詐欺〟が行われた。スポーツに対する反ロシア戦争を始めた人々は、この勝利を許すことができなかった」と厳しく糾弾した。

さらに他競技も含めて「米国人の要請で、国際オリンピック委員会(IOC)はロシアから2つの金メダルを奪った」と米国による〝不正操作〟があったと猛批判した。

東京五輪をキッカケに〝東西冷戦〟のムードが高まるきなくさい展開になってきた。

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