継投ノーノー呼ぶ好投 鷹スチュワートJr.が和田の代役に抜擢された理由とは?

ソフトバンクのカーター・スチュワートJr.【写真:藤浦一都】

和田が先発回避、代役候補の笠谷は「確認が取れなかった」

■ソフトバンク 0ー0 日本ハム(15日・PayPayドーム)

15日に本拠地・PayPayドームで行われた日本ハム戦で史上5度目となる継投でのノーヒットノーランを達成したソフトバンク。投手陣の快投の急先鋒となったのが、プロ初先発マウンドに上がった米ドラフト1巡目右腕のカーター・スチュワートJr.投手だった。

2018年の米ドラフトでブレーブスから1巡目指名されながら、入団しなかったスチュワートJr.。2019年にソフトバンクに加入すると、来日3年目でついにプロ初先発の機会が巡ってきた。初回、先頭の浅間に死球を与えるも、2つの三振を奪って無失点に凌ぐと、2回以降は三振の山を築いた。5回は3者連続三振に仕留めるなど、9三振を奪い無安打無失点と好投した。

スチュワートJr.のあとを受けたリリーフ陣も無安打投球。打線が無得点に終わり、継投によるノーノー達成にも関わらず、9回引き分けに終わるという史上初の珍事となったが、工藤公康監督も「想像以上のピッチングだった。ボールの力もあったし、変化球も良かった。次に繋がる投球だった」と絶賛の投球内容だった。

スチュワートJr.の初先発は突然、決まったものだった。当初、先発予定だった和田毅投手が前日14日に左肩のコンディション不良を訴えて、急遽、先発を回避。工藤監督ら首脳陣は急いで代役を探さなければならなくなった。

工藤監督「本当に素晴らしい投球をしてくれた。代えるのも申し訳なかった」

筆頭候補は笠谷俊介投手だったが、エキシビションマッチで指の爪を割るアクシデントがあった。ただ、指揮官は試合前に事情を明かしていた。「予告先発を13時までにしないといけなかった。(笠谷は)指のことがあって、それの確認が取れなかった。不透明なところがあって今日の先発は難しかった。タイミング的に時間がなかった」。

すぐに先発として決断できる投手を首脳陣でシミュレーションをした結果、白羽の矢が立ったのが、2軍で好投を続けていたスチュワートJr.だった。まさに緊急先発だった右腕だが、蓋を開けてみれば、想像以上の快投。指揮官も「こういう中でいけると言ってくれて、本当に素晴らしい投球をしてくれた。代えるのも申し訳なかった」と脱帽だった。

当初からこの日はリリーフ陣を注ぎ込んで戦うプランを描いていた工藤監督。無安打のまま5回での降板にも「ノーヒットだったので、4回で代えるというのもね。4回で『次がラスト』と伝えていた」という。

スチュワート自身も球団を通じて「良いピッチングができて良かったです。自分自身に勝ちはつきませんでしたが、チームが勝つチャンスがある中で降板できたのは良かったです。初めての1軍の登板で今日のような投球ができて良かったし、いい経験ができたと思います」と手応えを掴む試合になったようだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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