安価なCO2センサの大半は粗悪品、電気通信大学が見分け方提案

電気通信大学の石垣陽特任准教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症の対策用としてECサイトで販売されている安価な二酸化炭素濃度測定器(CO2センサ)の精度を検証したところ、大半がCO2に反応せずに消毒用アルコールに強く反応した。疑似センサ搭載器が市場に出回っている可能性があるという。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、換気や人の密集の度合いの目安として、室内のCO2濃度の計測・可視化が注目されている。一方、ECサイトでは安価なCO2センサの取り扱いが急増しているが、センサ精度の確認は一般には難しい。

研究チームは精度検証のため、感染症対策用に販売されている2,900~4,999円のセンサ12台を大手ECサイトで購入。アクリル水槽にセンサを封入し水槽内CO2濃度を変化させて表示値を記録した。その結果、3機種(25%)は正しく調整すればCO2測定に利用でき、1機種(8%)は故障とみられた。8機種(67%)はCO2濃度ではなくアルコールに強く反応したため、CO2以外の物質を測定する疑似センサの搭載器としている。

感染症対策では、センサが誤った過小な値を表示すると、適切な換気や行動変容が起きない。一方、過大な値の表示が続くと、利用者のセンサ表示の無視や無関心を生じる恐れがある。

そこで今回、研究チームは購入したセンサの簡易的な確認方法を提案した。それは、(1) 屋外の新鮮な空気中で400ppm前後を表示すること、(2) センサに息を吹きかけたとき濃度(ppm)が取扱説明書に記載の測定限界値まで上がること、(3) 消毒用アルコールを吹きかけた手をセンサに近づけてもCO2濃度が上昇しないことだ。確認できないときは、感染症対策としての換気モニタには使用しないことを推奨している。

参考:

【電気通信大学】安価で粗悪なCO2センサの見分け方 ~5千円以下の機種、大半が消毒用アルコールに強く反応~(PDF)

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