2020/21年フォーミュラE王者はデ・フリースに決定。激戦の世界選手権初年度を制す

 8月15日、ドイツ・テンペルホーフ空港で2020/2021年ABBフォーミュラE世界選手権の最終戦が開催され、予選13番手からスタートしたニック・デ・フリース(メルセデスEQフォーミュラEチーム)が決勝で8位に入りシリーズチャンピオンを獲得した。

 電動フォーミュラカーで争われるフォーミュラEは、創立7年目を迎えた今季“シーズン7”からFIA公認のワールドチャンピオンシップとして開催されている。

 2021年2月のサウジアラビア・ディルイーヤ戦で初戦を迎えたフォーミュラEだが、いまだに世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で開催スケジュールが変更されながらも、無事に最終戦を迎えた。

 第14戦を終えてのドライバーズランキングは、ニック・デ・フリース(メルセデスEQフォーミュラEチーム)が95ポイントでランキング1位となっており、2位は92ポイントのエドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)、3位には91ポイントでジェイク・デニス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)がつけ、ランキング14位までがチャンピオン獲得の可能性を残している接戦が繰り広げられている。

 迎えた第15戦の決勝では、ランキング4位につける予選3番手のミッチ・エバンス(ジャガー・レーシング)がスタンディングスタートで動くことができずグリッド上にストップしてしまい、そこに予選11番手からスタートしたモルタラが突っ込んでしまう。

決勝レーススタートでクラッシュしてしまったエドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)とミッチ・エバンス(ジャガー・レーシング)

 ランキング上位につけるふたりのクラッシュでレースは赤旗中断となり、それと同時にモルタラとエバンスもチャンピオン獲得の権利を失ってしまう波乱の幕開けとなる。

 車両回収とコースの清掃が終了しレースは再スタートを迎えるが、ここで8番手につけていたデニスがコントロールラインから1コーナーへのアプローチで姿勢を乱してクラッシュを喫してしまい、なんとデニスもチャンピオンシップ争いから脱落してしまう。

再スタート後にクラッシュを喫してしまったジェイク・デニス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)

 これでドライバーズランキング2位、3位、4位がリタイアとなり、デ・フリースがポイント獲得圏内の10番手まで浮上してチャンピオンシップ争いで圧倒的優位に立つ展開に。

 デ・フリースはその後も追い上げを見せ一時4番手を走行し、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)のクラッシュでセーフティカーが導入された後は順位争いのなかでポジションを落としてしまうが、フィニッシュまで堅実な走りを見せ8位でチェッカーフラッグを受け、99ポイントで見事にドライバーズタイトルを獲得した。

 なお、デ・フリースのチームメイトであるストフェル・バンドーンも3位でフィニッシュしているため、メルセデスEQフォーミュラEチームは181ポイントでチームタイトルも獲得している。

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