倉敷考古館限定!日本遺産グッズの販売 ~ 倉敷市とのコラボレーションで、日本遺産のつながりを発信

江戸時代の街並みが色濃く残る、倉敷市の美観地区。

その中心に位置する「倉敷考古館」は、旧石器時代から古代に関する資料を多く展示している施設です。

2021年8月11日、倉敷考古館では新しい取り組みとして、日本遺産にまつわるグッズを発売しました。

このグッズは、倉敷市日本遺産推進協議会と倉敷考古館の連携事業により実現したもの。

それぞれでグッズを制作したことはあったものの、コラボレーションは初めてとのことです。

グッズの詳細や、企画・開発段階からのこだわりポイントなどを取材しました。

倉敷考古館とは

倉敷考古館は、倉敷の景色では定番の「ナマコ壁」が印象的な建物。

岡山県から広島県東部に広がっていた、吉備地方とその周辺の遺跡の出土品を展示しています。

埴輪(はにわ)の起源となった特殊器台(とくしゅきだい)も展示している、日本遺産を語るうえではなくてはならない施設です。

そのほか、他県やペルーといった地域の展示品も。

ほぼ同時期に開館した倉敷民藝館、大原美術館とともに倉敷美観地区の三大文化施設といわれています。

詳しくは、以下の記事を読んでみてください。

日本遺産グッズの紹介

吉備地方とその周辺の遺跡の出土品など、貴重資料を展示している倉敷考古館。

地元の人や観光客に、倉敷や日本遺産をもっと身近に感じてもらおうとグッズを開発・販売することになりました。

倉敷市日本遺産推進協議会と倉敷考古館が連携して作ったグッズ、全5種類を紹介します。

考古館てぬぐい

「考古館てぬぐい」は、美観地区の街並みの象徴ともいえるデザイン。

倉敷考古館の「ナマコ壁」が特徴的なてぬぐいです。

「倉敷に行ったよ!」と家族や友達に話せるような、定番のお土産になりそう。

ちなみに、倉敷考古館の建物は、すべて江戸時代に建てられたわけではないことを知っていますか?

実は、昭和32年(1957年)に増築されいるのです。

どの部分かというと…。

てぬぐいの右側にあたる、白い壁の建物です。

屋根に注目してみると、天井と屋根とのあいだにすき間があるのはわかりますか?

この屋根は「置き屋根」と呼ばれ、鉄筋コンクリートの建物上においてあるだけの屋根なのです。

断熱効果や下地が痛みにくいなどのメリットがあります。

もちろん、てぬぐいでも細かく再現!

実際の増築部分と見比べてみても楽しめそうです。

特殊器台てぬぐい

もうひとつのてぬぐいは、「特殊器台(とくしゅきだい)てぬぐい」。

特殊器台をポップな色合いで描いているのが特徴的です。

「なんの模様だろう?」と思わず手に取ってしまうような鮮やかさ。

よく見ると、縦長の特殊器台とは別に、壺の形をした土器もありますね。

これも遺跡から出土したものです。

手を洗うタイミングが多いコロナ禍、日常的に倉敷の日本遺産のことを思い出せるグッズになりそう。

備前焼 特殊器台

「備前焼 特殊器台」は、写真のようにペン立てになっています。

てぬぐい以上に、特殊器台の細かい模様が再現されているようす。

作業机にあっても、馴染みそうな色合いなのがうれしいポイントです。

この写真に写る2つの特殊器台、よく見ると形が少し違うのがわかりますか?

ひとつひとつ備前焼のてづくりなので、まったく同じ形のものはありません!

倉敷考古館に並ぶいくつもの「備前焼 特殊器台」を見比べて、お気に入りの形を探してみてください。

スマートフォンケース

グッズの目玉、スマートフォンケースです!

模様に光沢があるものと、そうでないものの2種類があります。

特徴はやはり、目を引く大きな模様。

楯築遺跡(たてつきいせき)にある、旋帯文石(せんたいもんせき)をトレースしたデザインです。

提供 倉敷市日本遺産推進協議会

スマートフォンケースには、旋帯文石を上から見た模様が描かれています。

かつては楯築遺跡の上に建てられていた楯築神社の御神体として祀られていた、旋帯文石。

今は収納庫の窓越しに見られるものの、上から見ることはできません。

手に取ったときには、どのように模様ができているのか見てみてくださいね。

ケース自体は、ジビエレザーで作られています。

iPhone 6、6s、7、SE(第2世代)のみ対応

長く使えば使うほど、味が出てくるグッズ。

すべて倉敷考古館でしか買えないグッズなので、ぜひ足を運んでみてください。

その他、おみやげの定番マスキングテープも近日発売です。

どのようなデザインなのか、こちらも楽しみですね。

続いて、グッズを作った背景やこだわりポイントなど、倉敷考古館の伴祐子(ばん ゆうこ)さん、倉敷市日本遺産推進室の池田康幸(いけだ やすゆき)さんと藤原憲芳(ふじわら のりよし)さんにインタビューしました。

「日本遺産×おみやげ」で開発した、こだわりのグッズ

左より、池田康幸さん、伴祐子さん、藤原憲芳さん

──なぜ、倉敷考古館と倉敷市が共同でグッズを作ることになったのですか?

藤原(敬称略)──

倉敷市と考古館で連携協定を結んでいるので、一緒に何かできないかと考えていました。

もしグッズが作れたら、倉敷考古館の集客につながるし、日本遺産と結びつきが強いことを知ってもらえる機会になりそうと思ったんです。

初めての取り組みでしたが、企画から1年弱を経て開発・販売までたどりつきました。

今までとは違うアプローチで、倉敷と日本遺産のつながりを発信できると思っています。

伴(敬称略)──

倉敷考古館は、日本遺産にまつわる出土品を多く展示しています。

展示品を見たお客様から、よく「楯築遺跡はどうやって行くの?」と声をかけられていたんです。

グッズがあれば、日本遺産をよりわかりやすく紹介をしたり、楯築遺跡の場所を案内したりしやすくなるのかなと思っています。

──グッズをこの5つにした決め手はなんでしょうか?

池田(敬称略)──

おみやげとして、「どんな商品であれば手に取りやすいか」「クオリティが高いものを販売できるか」を考えて、この5つになりました。

われわれだけではなく、地域活動に関わる人や地元の制作会社など、多くの協力を得て制作したグッズです。

てぬぐいやペン立てはおみやげの定番だし、マスキングテープも気軽に手を伸ばしやすいですよね。

とくにてぬぐいは、倉敷の日本遺産である「綿花」のアピールにもなるかと思います。

スマートフォンケースは地域のみなさんとも連携して、目玉商品にしようとなりました。

企画段階ではもっと多くの案があったのですが、ニーズなども考えて選ばれたのがこの5つです。

──とくにこだわったことを教えてください。

伴──

最初の下書きは、すべて私が手で書いたんです。

せっかく作るなら、日本遺産をリアルにグッズにしたいと思ったんですよ。

私の下書きを見せながら、商品化してくれるデザイナーさんにこだわりを伝えて完成しました。

普通に見ているだけでは気づかないような、遺跡や建物の細かい魅力をデザインに反映できたと思います。

──すべて手書きのデザインなんですね!

伴──

そうです。手づくりのあたたかさも出したかったので、手書きで!

さすがに時間がかかったけど、リアルに再現できたと思います(笑)

考古館てぬぐいに関しては、「置き屋根」部分がポイントですね。

マニアックなので、グッズを見るだけではほとんどの人が気がつかないこだわりばかりです。

ただグッズを見せながら説明できると、日本遺産についての知識も深まると思います。

スマートフォンケースのデザインも細かいですが、はじめはすべて手書きです。

4回くらいは、実物を見に行きましたね。

普段は上から見られないので、特別に見せてもらっていました。

写真を撮って、ある程度デザインしたのちに実物を見て、細かすぎる線を削っていったイメージです。

本当の文様は、もっと複雑なんですよ。

すべてを反映すると見えづらくなってしまうので、違和感がないようにデザインしました。

──こだわりがたくさん詰まっているグッズですね。最後に、ぜひメッセージをお願いします。

池田──

倉敷考古館は、倉敷の日本遺産である「綿花」と、「古代吉備の遺産」のストーリーが重なる場所に位置しています。

倉敷に多くある、日本遺産の中心地「倉敷考古館」で、改めて日本遺産について伝える機会にしようと制作しました。

グッズは、おみやげとして手に取りやすいものばかりを揃えています。

倉敷考古館での限定販売なので、気になったものはぜひ手に取っていただきたいですね。

そして自宅やオフィスなど身近なところで、倉敷と日本遺産のつながりを思い出してもらえたらうれしく思います。

おわりに

考古館グッズは、どれもおみやげの定番ばかり。

たまたま手に取ったものが、実は倉敷と日本遺産にまつわるグッズだと知ったら……。

なんだか自慢したくなりませんか?

考古館に行くと、伴さんをはじめ考古館のスタッフのみなさんから倉敷と日本遺産のつながりについて教えてもらえるはずです。

実際に話を聞くと、美観地区の街並みを楽しむだけではないディープな観光を楽しめそうですよね。

なにより、グッズ自体は日本遺産の再現度がリアル!

本当に細かい文様にまでこだわったグッズなんです。

思わず手に取ってじっくり見たくなるものばかりでした。

倉敷ならではのおみやげがほしいけど、ひと味違ったグッズを買いたい!と考えている人は、ぜひ考古館に足を運んでみてください。

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