ワインは好きだけど、よくわからない人へ! ワイン指南書『ワインの噓』発売!

株式会社大和書房は『ワインの嘘』(宮嶋 勲著)を2021年8月18日に発売。 ワイン好きには「ワインについて何も知らないので」と恥じ入る人もいるが、 そもそもそれはおかしいのではと感じ、 ワインは理屈抜きで自由に楽しめるものではないかと本書の著者宮嶋氏は語る。しかしなぜかワインは「わかる必要がある」とか「楽しむには知識がいる」といった奇妙な誤解が幅を利かせている。 不毛な「ワイン信仰」を捨て、 好きなようにワインを楽しむための本『ワインの嘘』を発売する。 誰も教えてくれなかったワインの自由な楽しみ方がわかる1冊。

「間違う自由」を謳歌しよう (本書より)

ワインに関するやマナーが招く最大の弊害は、 ワインを心おきなく楽しめなくなることである。 いつも思い出すのは有名な落語のそばつゆのエピソードだ。 蕎麦の食べ方にうるさい江戸っ子がいて「そばはつゆをたっぷりつけてしまったら、 香りがわからなくなるから、 一寸か二寸だけつゆをつけてさっと食べる。 それが粋ってもんだ」と講釈を垂れていたが、 死ぬ前に「なにか、 思い残すことはないか」と尋ねる友人に「一度でいいから、 そばに、 つゆをたっぷりつけて食べたかった」と告白したという話だ。 蘊蓄に縛られなければ、 つゆをたっぷりつけて食べてみて、 満足することができただろう。 一度つゆをたっぷりつけてみたら、 やはりこれは辛すぎるとこりて、 自主的に端だけつける「粋な」やり方に戻っていたかもしれない。 ただ、 変な見栄が「一度間違ってみる」という自由を奪ったのだ。 ワインの飲み方を一度や二度しくじったところで、 傷は小さい。 人の言うことを信じるよりも、 自分で間違ってみることの方がはるかに有意義である。

「いつものワイン」を持てる幸せ (本書より)

イタリアにおけるワインはまさに日常に溶け込んだ庶民的な飲み物であった。 昼食、 夕食を問わず、 食卓には必ずあるものだったし、 食事の一部であった。 アルコール飲料という意識すらなく、 日本で言えば番茶のような位置づけであった。 日本人でも食卓に出される番茶に際立った高品質を求める人は少ないように、 イタリアでもワイン自体の香り、 味わい、 品質に対する要求は高くはなかった。 食事に寄り添い、 食事をより美味しく感じさせてくれればそれで十分と考える人がほとんどであった。 際立った香りや味わいを持つわけではないが、 どんな料理にも合い、 飲み飽きしないワイン。 このようなワインが私は今でも大好きだ。

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