【夏の甲子園】長崎商「九州対決」制し69年ぶりの校歌 勝利の裏に〝救世主〟の存在

粘り強い投球を見せた長崎商・城戸

第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)第4日の16日、第3試合は長崎商(長崎)が熊本工(熊本)を8―4で下して初戦突破を決めた。1回戦から実現した「九州対決」に、ネット上などでは惜しむ声も多かった一戦。ともに13安打の打ち合いは、5年ぶり8回目出場の「長商(ちょうしょう)」に軍配が上がった。

2年ぶり22回目出場の古豪「熊工」を破って聖地に流れた校歌は、実に69年ぶりだった。長商OBで温厚な語り口の西口監督は「非常に重かったです」と言葉に力を込めた。「69年ぶりに校歌を歌えた。先輩方が挑んでこられたものを乗り越えるということでは、目標にしていたのでうれしかったです」。

勝敗を分けたのは初回の攻防だった。西口監督は「4、5点入りそうなところを2点でしのいだのが大きかった」と振り返り、粘った城戸(3年)を「球が高かったですが、あそこを2点で抑えたので上等です」とねぎらった。その直後の攻撃ですぐさま打線が3得点。4回までに12安打を集めて8点を奪って主導権を握った。6回からは田村(3年)へプラン通りの継投。要所で併殺を奪って切り抜けるなど守備も盛り立て、粘る熊工の追い上げをかわした。

悪天候の順延で練習場確保が難しい中にも恵みがあった。手を差し伸べたのは、今大会出場を逃した強豪・明石商の狭間監督。「ご厚意で室内練習場とグラウンドを借りて練習ができました。バッティングに充てる時間が多かった」。堅守のイメージが強い長商の「13安打」の裏には、そんなエピソードもあった。

最後は「今日は硬さがありましたが、少しずつ緩んできましたので次につながると思います」と柔和に笑った西口監督。歴史的勝利を手にして、愚直に2勝目を狙う。

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