【新型コロナ】札幌市「第4波」で感染した人工透析患者 53%死亡

 札幌市保健所は、今年4月から市内を襲った新型コロナウイルスの「第4波」のさい、感染した人工透析患者の約53%が死亡していたことが分かったと調査で明らかにした。同市では当時はワクチン接種が広まっていなかったなどの事情もあるとしているが、現在首都圏を中心とした感染爆発の状況下では、基礎疾患のない人と同様に、感染した透析患者が入院できない事例が多発しており、ケアが行き届くのか懸念される状況だ。

4月から6月までの期間で118人のうち63人死亡

 札幌市保健所が今回明らかにした調査は、今年4月から6月にかけての「第4波」において、市内でウイルスに感染した人工透析患者118人について経過を調べたもの。調査の結果、118人のうち63人、実に53.3%もの患者が死亡していたことが明らかになった。

 年代別に死亡率を見ると、60代以上が67.25%となっているのに対し50代以下は24.95%となっており、当時は高齢者へのワクチン接種が進んでいなかった事情を考えれば、今後同様の事態が起きるとは考えにくい。しかし50代以下の24.95%にしても、基礎疾患のない人のこれまでの死亡率と比較して格段に高い数値と言わざるを得ない。札幌市ではこの調査内容の発表前から事態を把握しており、これまで優先的にワクチン接種を進めるなど対策を進めているという。

関連団体が声明「1人でも構わないので受け入れ検討を」

 その後高齢者へのワクチン接種は全国的に進んでいるものの、50代以下への接種は道半ばで接種率が高まっているとはいえない。その意味で札幌市の事例は、今後他地域でも発生する恐れが十分にあり、特に、現在首都圏からの爆発的な「第5波」が地域へ拡散しつつある状況では極めて懸念される状況といえるだろう。

 感染爆発が広がりつつあるこの状況を受け、日本透析医会・日本透析医学会・日本腎臓学会の関連団体は今月2日に共同で声明を発表。「7月末より1 都3県では、透析患者は無症状・軽症でも入院という原則が保てていない」「入院中の患者が重症化した場合も、転院先を見つけることがほぼ不可能」になっている現状を指摘し、各医療機関に対し「1人でも構わないので受け入れを検討してほしい」と呼びかけている。

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