【夏の甲子園】沖縄尚学・当山 圧巻27人斬りの12K完封「四球出すくらいなら安打の方がいい」

阿南光打線をきっちり封じた沖縄尚学・当山

第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)第4日の16日、第3試合は沖縄尚学(沖縄)が阿南光(徳島)を8―0で下した。投打がかみ合っての快勝で沖縄県勢通算100勝目。ヒーローはエースの当山渚投手(3年)だ。

116球目の136キロ真っすぐで最後の打者を空振り三振に斬ると、小さく拳をつくった。12三振を奪って2安打無四球完封。「(捕手のミットまでの)ラインを意識して再現性を大事にしている」。丁寧な投球で変化球を低めに集め、内角を突いて二塁さえ踏ませなかった。併殺と盗塁死があり、27個のアウトを27人で奪った。

身長171センチの小柄な左腕が、聖地に大きなインパクトを残した。「四球を出すくらいなら安打を許した方がいい。そこは守りを信頼して自分のボールを投げるというところを心掛けました」。守備の時間が短いと攻撃にも波及する。この日は打線が13安打を集め、効率よく8得点。この日は12奪三振を記録したが、基本は「打たせて取る」スタイル。鍛えられた野手陣の守備力が際立つのも、当山の〝料理〟の仕方がうまいからだ。

昨秋、左ヒジの遊離軟骨を除去する手術を受けた。1999年の選抜優勝投手でもある比嘉公也監督(40)の薦めで、秋の大会を諦めてリハビリに励んだ。「投げられなかったのが情けなかった」。悔しい思いが最後の夏への原動力となっている。

その背中からはエースの風格が漂う。「これからもチームを助ける投球をしていきたい」。春は2度制している沖縄の雄が、悲願の夏制覇へ最高のスタートを切った。

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