栃木県が緊急事態宣言発令を要請 福田知事「より強力な対策必要」 15、16日に計188人新型コロナ感染

緊急事態宣言発令の要請を決めた県新型コロナウイルス感染症対策本部会議=16日午後2時半、県庁

 新型コロナウイルス緊急事態宣言の対象拡大方針などを話し合う16日夕の政府協議に先立ち、福田富一(ふくだとみかず)知事は同日、西村康稔(にしむらやすとし)経済再生担当相と電話会談し、宣言発令を要請した。今月8日に「まん延防止等重点措置」が適用され1週間が過ぎたが感染拡大は止まらず、医療提供体制は危機的状況にある。16日の県対策本部会議後の記者会見で福田知事は「県全域でより強力な対策を講じる必要があると判断した」と説明した。

 県内では新規感染者が連日100人を超え、14日には1日最多の195人が確認された。15日は112人、16日は月曜日としては過去4番目に多い76人だった。福田知事は「医療崩壊が間近に迫っている」と改めて強調した。

 宣言下では都道府県知事が明確な法的根拠を持って店舗に休業を要請できる。福田知事は休業要請の可能性について「十分検討したい」と述べるにとどめた。

 同日の対策本部会議では、県内で唯一、重点措置の対象外となっていた那珂川町でも複数の感染者が出ていることから、他の24市町と同様の営業時間短縮要請などを県が独自に行うことを決めた。期間は19日から。

 感染拡大が収まらず、市中感染の広がりを示す検査陽性率(9~15日)は15.4%で過去最大となり、緊急事態措置の目安となる10%を超えている。人口10万人当たりの全療養者数も15日時点で87.7人となり過去最大を更新した。病床使用率は59.6%、重症病床使用率は41.3%と深刻さを増している。

 福田知事は「これ以上感染拡大が進めば自身や家族の健康、命、生活を脅かす状況になる」と訴えた。

 県と宇都宮市によると、15、16日の新規感染者は10歳未満~70代の男女で、累計感染者数は1万404人となった。計322件を検査(委託の未集計分は除く)。累計検査件数は36万9433件、退院者8926人、入院者266人、宿泊療養者152人、自宅療養者834人、入院調整中200人、重症者は1人増え19人となった。

県内の新型コロナウイルス感染者数
県内の新型コロナウイルス感染者(15、16日発表)

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