【野外部】初心者でも失敗しないテントの選び方。in スノーピーク金沢

僕たちが暮らすのは、全方位をぐるっと海山に囲まれた石川県。

田舎だと揶揄されることもあるけど、密を避けた「野外活動」が注目されるコロナ時代において、自然豊かなフィールドがすぐ近くにあることは、かなりのアドバンテージだと感じています。

そう、今こそアウトドアに目覚める時なのかもしれない!

そんなわけで突如発足した「野外部」。これからシリーズにわたって、キャンプ、釣り、山登り、サイクリングなど、その道のプロに「ゼロから始めるコツ」を聞いていきたいと思います。

記念すべき第一弾のテーマは、キャンプに欠かせない「テント」。失敗しないテントの選び方を『スノーピークストア スポーツデポ金沢鞍月店』店長の笹嶋達也さんにうかがってきました。

スポーツデポ金沢鞍月店内に併設される「スノーピークストア」。県内随一ともいえるキャンプ用品の品揃えが魅力。
テントもこの品揃え!

キャンパーなら誰しも憧れる存在。

本題に入る前に、ざっくりと「スノーピーク(Snow Peak)」の説明をさせていただきます。

『スノーピーク』は、ものづくりの町・新潟県三条市を拠点とするアウトドアブランド。キャンプ用品やアパレルを中心にハイスペックな製品を幅広く展開し、その洗練されたデザインと機能性を兼ね備えたアイテムは、世界中で人気を集めている。

なぜ、このお店を選んだのかというと「選んだいいものを修理しながら長く使う」という哲学にひかれたから。そして単純にデザインが好きだから。テントに関しては、エントリー、スタンダード、プロといった感じで、初心者から上級者まで幅広いラインナップが揃っています。

それではさっそく「失敗しないテントの選び方」を聞いてみましょう!

キャンプ大好き笹嶋さん。この日も、富山の牛岳から千里浜をハシゴして、3夜連続のテント泊をキメ込んできたばかり。すっかりリフレッシュした様子がうかがえる(実際の営業中はマスクを着用しています)。

自分のキャンプスタイルを想像する。

ーーこんにちは!一生使えるテントを探しにきました!

笹嶋さん:ありがとうございます。お気に入りが見つかるまで、しっかりお手伝いしますね。ちなみに吉岡さんは、どんなキャンプがしたいですか?

ーーえっ?

笹嶋さん:もし、理想とするキャンプの形があれば、テント探しのヒントになるかと思いまして。

ーー理想のキャンプかぁ。そこまで考えてなかったっす…

笹嶋さん:では、キャンプをする季節や人数は決まっていますか?

ーーそうですね〜。初夏から秋にかけて、ソロもしくは2人で、っていう感じです。

笹嶋さん:となると、それほど大きいサイトを作らずに済みそうですね。

ーーサイト?

笹嶋さん:キャンプ場で生活する拠点のことを「サイト」と呼ぶんですが、そのサイトは基本的に寝室(テント)と、リビング(タープ、シェルター)ふたつの空間で構成されるんです。

ーーあ、テントだけじゃないんですね。

笹嶋さん:はい。テントはあくまでフィールドのベッドルーム。タープは日差しや雨を防ぐ「屋根」として、機密性の高いシェルターは虫の侵入や雨風を防ぐ「家」として、それぞれの役割を果たしているんです。

設営のしやすいアーチフレーム型のテントと、定番の「ヘキサタープ」がセットになったエントリーパックTT。人間だけでなく荷物などを雨風や日光から守ってくれるタープは、なるべく大きい方が安心とのこと(写真提供:Snow Peak)
オールシーズン快適なリビング空間を演出するシェルター「リビングシェル」。テントと連結することで、外に出ることなくリビングと寝室を行き来することもできる(写真提供:Snow Peak)

ーーで、その組み合わせがポイントになると。

笹嶋さん:そうなんです。サイトをどう構成するかは、季節や人数によっても変わってきて。たとえば、テントとタープの組み合わせは、風通しが良いので暑い日は涼しく過ごせるけど、寒さは苦手だったり。

ーーなるほど〜。

笹嶋さん:秋シーズンや家族とのキャンプを想定する場合は、リビングと寝室が一体になった2ルームシェルターもおすすめですね。雨風や冷気を防ぐ構造なので寒い季節でも快適に過ごせるし、家のような空間で小さな子供がいても安心感があるんですよ。

ーーたしかにオールインワンは惹かれますね。設営もしやすそうだし。

笹嶋さん:吉岡さんのようにソロキャンプも検討されている方は、「ヘキサイーズ」のようなテントも選択肢に入るかもしれませんね。最近はバイカーの方にも人気で、興味をもたれるお客さんもよくいらっしゃいます。

ーー本当にいろんな選択肢があって迷います。だからはじめに「自分のキャンプスタイルを考えよう」ってことなんですね。

笹嶋さん:快適なサイト作りはキャンプの醍醐味でもあるので、じっくりと考えてみてくださいね。

寝室とリビングが一体となった、ファミリーサイズの「エントリー2ルーム エルフィールド」。シンプルな構造で設営しやすく、初心者にもおすすめ(写真提供:Snow Peak)
ソロキャンパー用に開発された「ヘキサイーズ」。キッチン・リビングとして十分な前室スペースと、既存のソロテントに劣らない屋内空間が確保されている(写真提供:Snow Peak)

いいものを修理して、使い続ける。

ーーちなみに笹嶋さんが最初に買ったのは、どんなテントなんですか?

笹嶋さん:2ルームシェルターの「ランドロック」ですね。

ーーオールインワンテントの最上級モデルですね!なぜ、ランドロックだったんですか?

笹嶋さん:4〜5人でのキャンプを想定した上で、オールシーズン使えるものとなったときに、このテントが一番しっくりきたんですよね。初期投資はかかるけど、いいものを買いたいなと思って。

ーー社内割りがきいたとしても、そこそこの値段ですもんね〜。

笹嶋さん:いやぁ、会社に入る前だったので、そういうのはありませんでしたけど(笑)

ーーあ、そうだったんですか!だとしたら、そもそもなぜスノーピークのテントを選んだんですか?

笹嶋さん:品質的に「しっかりとしたもの」という印象だったのと、保証面のサポートが充実しているのが大きかったですね。

ーーそこは僕も気になってました。たしか全製品を永久保証で修理しているんですよね?

笹嶋さん:そうなんです。「壊れたら買い換えるのではなく、修理を繰り返して、何年も使ってもらいたい」というのがスノーピークそのものの考え方なので、保証書もつけていないんです。

笹嶋さんが愛用する2ルームシェルター「ランドロック」。風に強いフレームワークと快適な居住性によって、オールシーズンでキャンプが楽しめる(写真提供:Snow Peak)
こちらは笹嶋さんによる設営風景。
笹嶋さんとの会話の中で大事だと感じたのは、テントを支える張り綱の存在。とくにロケーションが良い場所ほど風が抜けるので、多少面倒でも張り綱は絶対に打つべきとのこと。長く使うには、壊さないことも大事。

ーー最近でこそサステナブルを掲げる企業は増えましたけど、この永久保証を何十年も前からやってるのはすごいですよね。でも、テントってそんな簡単に壊れたりするものなんですか?

笹嶋さん:たとえば、突風が吹いてフレームが折れてしまったり、火の粉が飛んで生地に穴が空いてしまったり、野外で行われるキャンプにはトラブルがつきものなんです。

ーーたしかに、自然の力には逆らえないですもんね。

笹嶋さん:僕自身もテントを買ってすぐに、ガスランタンの火で幕体を焦がしてしまったんですけど、アフターサービスを利用したら3,000円で直してもらえました。

ーー初期投資にいくらかけるかが一番の悩みでもあるんですけど、修理して使い続けることを考えれば、決して高くないのかもしれませんね。

笹嶋さん:ずっと使っていると、愛着も湧いてきますからね。

ーーできるだけ長く使いたいし、テントを選ぶときはアフターサービスの質も考慮するべきなのかなと思いました。

修理をする際は、次のキャンプの予定に間に合うよう納期にもこだわっているのだとか(写真提供:Snow Peak)
こちらは燕三条に伝わる鍛造製法で作られた、硬くて丈夫なペグ「ソリッドステーク」。テント周りの道具がいかに充実しているかもテント選びの大事なポイント。

「失敗しないテントの選び方」いかがでしたでしょうか?意外と難しそうで、シンプルでしたよね。僕自身は、もうちょっと自分が理想とするキャンプの形をイメージしてから、あらためてお店に行ってみたいと思ってます。

ちなみに『スノーピークストア スポーツデポ金沢鞍月店』では、エントリーモデルを中心に複数のテントを見比べることができる展示会をシーズンごとに開催。次回の開催は秋頃とのことです!

スノーピークストア スポーツデポ金沢鞍月店
石川県金沢市戸水2-105
TEL.076-266-1770
営業時間/10:00~21:00
定休日/無休
駐車場/あり
※こちらの情報は取材時点のものです。

(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)

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