長崎商69年ぶり夏1勝 対策ぴたり 猛攻13安打

【1回戦、熊本工-長崎商】3回裏長崎商1死三塁、松井が右前へ勝ち越し打を放つ=甲子園

 目標だった勝利の校歌が甲子園で69年ぶりに響いた。春夏計43度の出場を誇る熊本工との九州対決を制した長崎商。長崎大会は堅守を軸に僅差で勝ってきたチームが序盤から打ちまくった。創部101年の伝統校のOBでもある西口監督は「(校歌が)重かった。やってきたことを体現できた」と感慨に浸った。
 雨で4日遅れの初戦。みっちり対策ができていた。熊本工のエースは右横手の変化球投手。「低めを捨ててゾーンを上げ、逆方向へ」と頭にたたき込んだ。室内練習場で打撃投手やマシンを相手に似せて振り込んできた。
 長崎大会で微修正を続けた打順を当初の形に戻して迎えた初回。2点差をすぐにひっくり返した。同点、勝ち越し打は西口監督が「一本出そう」と予感していた松井、鬼塚の左右の大砲。「絶対に打つ自信を持って」(松井)、「チーム全体で共有できていた」(鬼塚)と約束事を徹底し、それぞれ逆方向へ運んだ。
 三、四回も2人のほか、警戒されていた大町や4番に戻った宮城らも相次いで長短打。長崎大会で1試合最多だった12安打を四回までに記録した。五回以降は救援陣の前に横田の1本で快音が止まったものの、初戦の緊張感の中、攻撃は狙い通り完璧に攻略。やや精彩を欠いた持ち味の守備の奮起をはじめ、今後へ大きな弾みをつけた。
 次の相手は選抜準Vの明豊(大分)から11三振を奪って完封勝ちした専大松戸(千葉)。厳しい戦いも予想されるが、松井は「いい投手でも絶対に甘い球は来る。それをいかに一発で仕留められるか」と闘志を燃やしていた。


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