首里城火災「防火管理に過失」 市民ら提訴 沖縄県に損害賠償を請求

 2019年10月末に発生した首里城火災を巡り、正殿など6棟が全焼したのは、県から施設の運営を委託されていた指定管理者「沖縄美ら島財団」の責任だとして、県民8人が16日、約1億9千万円の損害賠償を財団に請求することを県側に求める住民訴訟を那覇地裁に起こした。

 訴状によると、出火原因は特定されていないが、出火場所は正殿の1階と確定している。火災の拡大・延焼は、初期消火が不十分だったことや、消火用の貯水槽の水量が不足していたことなどが原因だと指摘。「財団の防火管理上の最善注意義務違反の過失によって、木造建物群などの焼失を招いたことは明らかだ」とし、県が受けた被害は、財団が全額賠償すべき責任があると主張している。

 損害額の内訳は、財団が県に納めるべき固定納付金のうち火災後に減額された9730万円と、建物内に収蔵され焼失した文化財の被害。原告共同代表の金城ミツ子さん=宜野湾市=は、収蔵作品が焼失したかどうか、財団や県から詳しい説明がないとし「多くの方に作品がどうなったか聞かれる。県民に広く知らしめるべきではないかと思った」と述べた。

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