「人目が気になり温泉に行けない」がん患者の悩み 『乙女温泉』ができること 両側乳がんになりました105

次の誰かのためにと綴っています。

『乙女温泉』が北海道で・・・

乳がん患者さんの温泉デビューを支える『乙女温泉』が北海道に上陸しました。
6月から函館で月に一回、開催されています。

私のような乳がん患者だけでなく、がん治療による脱毛や手術痕などで温泉に入ることに抵抗を持つ女性は多くいます。その抵抗感は傷を見られるということだけではなく、傷をみた人や子供が不快な思いをするのではないか、という気持ちでもあるのです。

温泉好きの私としては本当に傷がつらかった。同じ思いをしている人はたくさんいたのです。(入浴着の存在も知ってほしいですが、これは後日!)

関西を中心に活動する乳がん経験者の支援をしている「Reborn.R(リボンアール)」の渡辺愛さんがそうした女性のために温泉を貸し切り、気兼ねなく入浴できるようにと始めたのが「乙女温泉」です。

兵庫県尼崎市の銭湯の協力で昨年10月に初開催。愛さんが集めているがん患者さんの声がきっかけでした。

私は愛さんとSNSで知り合いました。すごいいい取り組みしてるなあ、行動力あるなあ、と。どんどん関西で会を重ねておられていて、開催場所のご主人から『乙女温泉』ののれんをサプライズでプレゼントされるなど非常に思いをもった施設のみなさんと愛さんのお仲間が結びついて育っているなあ、と応援したいなあと感じていました。

そんな折、今回、北海道・函館の『乙女温泉』の主催者、函館市女性会議の佐々木香さんから連絡がありました。

佐々木さん、残念ながら亡くなられたがん当事者の友人から、がんの女性のための貸し切り温泉の夢を託されていたというのです。

ご友人は「医療用かつらをつけて温泉に入っても楽しめなかった」と。

今回の函館のイベントが乳がんに限らず、全ての女性がん当事者を対象しているのは胸の傷だけではないと考えておられるからなのです。

イベントをやりたいけれどと悩まれていたのでそれなら相談にのってくださるのではと『乙女温泉』の渡辺愛さんに・・・。

がんをり患していなくてもがんをり患した人の気持ちに立って何か行動をおこしたいと考えてくださっている、またそれを支えてくださるお仲間がいる佐々木さんが素敵だな、ありがたいなと思ったのです。

温泉だけじゃない!温かいお宿

『乙女温泉』北海道版の舞台は函館・湯の川温泉にある源泉かけ流しが自慢の温泉宿。

地元で様々な取り組みをすでに行っている佐々木さん。ホントにあっという間に行動力を発揮され、函館湯の川温泉旅館協同組合の事務局長にご相談、そのご紹介で「ホテル笑 函館屋」さんに決まったと一報を受けました。

その思いに輪が広がった形です。

笑函館屋の植澤大作支配人は即決されたといいます。
「衝撃を受けた。お風呂にも自由に入れないような方もいらっしゃるんだなというところで、なにか手助けができればと」

温泉を貸切にするのは毎月第3水曜日、普段は清掃などが行われる昼前後の時間帯を活用して、温泉のスタッフのみなさんも協力してくださっているそうです。コロナ禍で大変な中、温泉だけじゃなくて本当に温かいお宿です。

参加した方々の感想です。
「いい湯でした」

「最高でした。温まりました。」

「(普段は)隠して隠してという方にばかり気がいって、なかなかゆっくり温泉に浸かるということも出来なかったので、今回はタオルなしで堂々と入れたのですごい良かった」

と笑顔で・・・。

佐々木香さんは「外の人とつながりたいという思いで参加している方もいらっしゃるのでそういう人同士が繋がる場になったのであれば本当に良かった」と話しています。

背中を押してくれた、そしてきっかけを作ってくれたご友人に感謝するとともに責任も感じていて、頑張ります、と。冬はお休みしようかと思っていたそうですが続けることになりました。函館だけではなく、近郊の市町村からもお越しになっているそうです。

愛さん、香さんとつながった『乙女温泉』。

なんと、東京・新潟・福岡でも同様につながって企画中。もちろん、札幌でもありがたいことにご協力いただけるお宿がありました。釧路・帯広でも準備中です!続報をお待ちください。

【乙女温泉・函館】
ホテル笑函館屋にて毎月第3水曜日(今月8月は18日)
ヨガなどのワークショップも開催しています。

定員は15人で、事前に申し込みが必要になります。
入湯料は1,000円 佐々木さん:honoka.20110122@gmail.com

【ご協力いただいた温泉】
ホテル笑函館屋
住所:北海道函館市湯川町3-10
電話:0138-36-2000

(文:阿久津友紀 乳がん患者)

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